鯖棒亭日乗(下)

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2018年 奈良冬の旅04

2018年の奈良冬の旅04

前日は福智院、新薬師寺、白毫寺、元興寺と周り

夜は花菊で1万円のコースを食べて日本酒2合

そのあとで奈良ホテルのバーでカクテル3杯飲んだ

俺は毎回旅するときにテーマを決めるのだが

今回の旅のテーマは「贅」

これは単純にお金をかける意味合いもあるが、仏教美術など堪能する文化的な贅沢の意味も含まれている

お金をかけると言っても俺は貧乏な一般市民である

普段は昼食としての半額の菓子パンをお年寄りと競うようにして購入しては年に一度の旅に備えているような人間だ

お金をかけると言っても限界はある

近年お寺の拝観料の値上げラッシュが続いてることもあり拝観料や御朱印、お寺グッズの購入費だけでも相当な金額となる

俺の場合はまだ一人旅なので問題はないのだが

仮に俺に美人でスタイル抜群で気立てのいい嫁さんと可愛い子供達がいたら一体どんだけ旅行に金がかかるんだ?といつも思う

単純に計算しても3倍ぐらい予算が必要になるのでは?

まぁそんな心配は全くしなくていいのではあるが

前日はバーで閉店時間まで飲んでいたので部屋に帰り

亀井勝一郎法隆寺中宮寺あたりのページを読み直し就寝した

普段は夜9時には寝る健全な生活をする俺も旅に出た時は乱れるのだ

大晦日から正月三ヶ日にかけて俺は孤独であった

誰とも会わず言葉もアイフォンXに対してしか発していなかった

その反動からかバーで飲んだ時は楽しくて仕方がなかった

あの時間も確かに「贅」な時間であった

人間やはり言葉を発しないとダメだなとつくづく思った

飲んでる時にはインスタのフォロワーが次々と入る

しかしそれは本当の意味での繋がりではないのかもしれない

俺のフォロワーは9割以上が外人なので彼らが何を求めて俺のインスタを見てるのかは分からない

これは多分俺の世界戦略が順調だということだとは思うのだが

そのためにも俺は明日、法隆寺へ向かわなければならないのだ

 

前日の夜更かしもなんのその俺は朝5時に起床した

早速シャワーを浴びる

ついついBOOWYのNO.NYを口ずさんでしまう

テレビをつける

早朝なので音量を絞る

フジテレビは何チャンネルだ?

今日も朝からお天気お姉さんの胸元をぼっと眺めてみる

外はまだ暗い

庭は見えないが窓を開けてみる

小雪がちらついてるようだ

朝食まではまだ時間がある

ビジネスホテルなら自販機へ缶コーヒーを買いに行くところだが、あいにく奈良ホテルに自販機はない

備え付けのインスタントコーヒーは300円だ

俺は無料のお茶を飲んだ

とりあえず法隆寺情報をチェックだ

修学旅行で一度訪れてはいるが全く記憶にない

どんな建物で何があったのか?

さっぱり覚えていない

俺は一体あの時何を考えていたのか?

友達とふざけあってただけだったんだろうな

ちなみにこの時点で俺の持つ法隆寺の情報は「聖徳太子」だけである

ガイドブックにもそれほど情報は出ていない

やはり亀井さんの本が一番詳しい

改めて読んで見たがいかんせん頭の中に入ってこない

まぁいい

とりあえずは飯だ

俺は荷物を整理して部屋を出た

朝の7時だというのに朝食会場はそこそこ人がいる

見渡す限りお年寄りの方ばかりだ

さすがに若い世代はまだ起きてこないのだろうな

奈良ホテルの朝食は3種類

和が2種類

洋が1種類

和の違いはご飯ものが茶粥か白飯かだけである

値段は共通で2851円

俺は特別に1500円で食べれるプランで申し込んであった

俺は和の茶粥定食にした

奈良に泊まるといつも茶粥は食べる

高野山なんかでも朝食に茶粥が出たりする

しかし俺は今まで茶粥が美味しいと思ったことはない

でもなぜか奈良に来ると茶粥を食べたくなってしまうのだ

テーブルに着くとすぐに運ばれてくる

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奈良ホテルの焼印がされた木の蓋つきで茶粥は運ばれてくる

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これが奈良ホテルの朝食の全貌だ

王道の和食

旅に出た時しか食べられない代物だ

俺はワクワクした

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メインでもある茶粥

緑色のものが振りかけてあるが、おそらく緑茶だな

ほうじ茶の茶粥が多い中で奈良ホテルの茶粥は緑茶である

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味噌汁は赤い

浮かんでいるのは湯葉か?

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早く食べたい気持ちで焦りすぎてブレてるな

アイフォンXは手振れ補正があるはずなのに

どんだけ俺焦ってるのか?

ブリの照り焼き

出し巻き卵

はじかみ

ダメダ

俺の好物ばかりじゃないか

朝だが酒のみてぇ

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左から胡麻豆腐、焚き合わせ、おひたし

これもまた俺の好きなものばかりである

焚き合わせにある赤いやつは梅干しでなく赤こんにゃくだな

昨日学習した

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漬物は3種

とても美味そうな漬物だ

まぁ実際に美味いのだが

奈良漬は奈良ホテルオリジナルでお土産として買える

比較的軽めの奈良漬だがしっかりとこくがある奈良漬だ

よくありがちな単に味が薄いだけの奈良漬ではなく

食べやすいのにしっかりした味がある

とても良い奈良漬だ

思いっきり濃厚な奈良漬が好きな俺も満足できる

そして奈良漬が苦手な人も満足できることであろう

まさに二刀流

奈良漬界の大谷翔平だな

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梅干しと塩昆布は食べ放題

これも売店で買える

一体何個食べたか覚えてないぐらいばくばく食べてしまった

茶粥はおかわりOKだ

やはり茶粥も俺が今まで食べてきたものとは一味も二味も違う

米やお茶などの素材の良さもあるだろうが炊き方なんだろうなぁ

白飯もとんでもない美味さだったしな

あれならおかずなんていらない

塩むすびにして食べたらさぞかし美味いんだろうな

塩むすび定食も出して欲しいな

人生で初めて茶粥が美味いと思った俺はおかわりした

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2杯目は味を変えた

梅干しと塩昆布をぶち込んだ

この他には醤油をぶち込む手もある

塩昆布が良い具合に溶け込んで味に変化をもたらした

シンプルイズベストだった味から昆布の旨味が加わった

インターバルで梅干しを食べながら茶粥をハフハフ

これが奈良だな

とは言っても現代の奈良在住の人は茶粥は食べないだろうが

味は全体的に薄味だ

昨日の夕餉が割としっかりした味付けだっただけに

朝は比較的あっさり目にしてあるのかもしれないな

でもそれが優しい

素材が良いからちゃんと美味いし

調理も抜群だ

朝から贅沢をしてしまったな

ここでも旅のテーマの「贅」を堪能した

ごちそうさまでした

 

俺は帰りに開いたばかりの売店で奈良漬とフルーツケーキを土産用に購入した

そして自分用に「奈良ホテルトートバッグ」も購入

仕事で使うものぶち込んで持ち運ぶのにちょうど良い

着替えも入りそうだしな

俺は部屋に戻り

名残り惜しみながらもチェックアウトした

「また来るからな」

俺はクソ重たいバックパックを背負い

一路奈良駅を目指した

出る前にトイレをすましたにもかかわらず猿沢池のあたりで再びトイレに行きたくなる

「今日はかなり冷えるな」

俺は公衆トイレに駆け込んだ

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でも猿沢池って歴史的なものとかあるのかな?

調べてみた

どうやら人工池らしい

歴史は古く天平21年(749年)に興福寺が行う宗教儀式の「放生会」の放生池として作られたそうだ

放生会とは、万物の生命をいつくしみ、捕らえられた生き物を野に放つ宗教儀式

人工的に池を作りここに生き物を放流してたんだな

でもその前に捕らえてしまうって言うのは仏教的にどうなんだろう?

そして猿沢池には7不思議がある

  • 澄まず
  • 濁らず
  • 出ず
  • 入らず
  • 蛙はわかず
  • 藻は生えず
  • 魚が七分に水三分

水の出入り口がないのに水量は一定

亀はたくさんいるが、なぜか蛙はいない

なぜか藻も生えない

決して澄むことなくまたひどく濁ることもない

毎年大量の魚を放流するのに魚の数も一定だという

いつもなんの関心もなく通り過ぎてたけど不思議な池なんだな

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今回は訪れなかった興福寺五重塔

「今度行くからな」

俺は一路JR奈良駅を目指した

コインロッカーに荷物を押し込み

必要なものだけ装備して法隆寺駅へと向かった

 

 

つづく