鯖棒亭日乗(下)

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カルビーご当地ポテトチップス「鮒ずし」味を発売

カルビーが本気を出してきた

ご当地ポテトチップスシリーズの中の滋賀県

まさかの「鮒ずし」味を発売するという

鮒ずし

そのまま鮒の寿司である

おそらく食べたことがある人の方が少ない郷土料理

歴史的には徳川家康安土城を訪れる際の接待役に明智光秀が任命されて明智光秀は滋賀の郷土料理を家康に振る舞い。その中に鮒鮨が含まれていたという

この鮒ずしを見て織田信長が激怒

「客人にこんな腐ったものを出しよって!!」とでも怒ったのかもしれない

発酵と腐敗の区別がつかなかったのかもしれない

接待役の明智光秀はこっぴどく怒られて、後の本能寺の変へと繋がったのでは?と一説では言われているが本当のところは分からない

そんな鮒ずし

琵琶湖で取れた鮒をご飯と一緒に数年間塩漬けにする

しかも卵を持った新鮮なニゴロブナ

卵を傷つけないようにそっと内臓を取り除き塩漬けにする

これが下漬けとなる

そのあと下漬けした鮒を水で洗い塩を抜く

この水洗いと塩抜きが味の決め手となるそうだ

そして水抜きをした鮒にエラ蓋から塩を加えて冷ましたご飯を詰め込み本漬けとなる

米はもちろん近江米だ

数ヶ月から1年本漬けされた鮒ずしは「発酵するにもほどがあるだろ・・・」ってぐらい発酵するのだ

白いご飯なんか完全に乳酸発酵してトロトロである

あまりにも癖が強いためご飯の部分を食べる人は少ないそうだが

発酵好きとしてはこのご飯の部分がないと逆に物足らないのである

乳酸発酵の過程でデンプン質は分解されて旨味成分のアミノ酸へと変化する

つまり鮒ずしは旨味の塊なのだ

食べ方は薄くスライスしてご飯の部分を取り除きそのまま食べる

これは日本酒のあてとして世界最強である

これほどまでにお互いの味を高め合うあては存在しないであろう

さすがに発酵の王である

あとは薄くスライスしたものをお茶漬けにして食べる

俺はまだ経験したことがないが多分美味い

お茶をかけることにより酸味もまろやかになるそうだ

奈良漬や大原のしば漬けなんかも用意してお茶漬けパーティーもいいな

そんな鮒ずし

味はもちろん強烈な酸味である

その中に凝縮されたコクが噛めば噛むほど口の中に広がるのだ

しかしまず臭いがダメだという人も多い

俺は臭いに関しては全く気にならないのだが

本当に贅沢な食べ物だと思う

しかしこれほど手間暇かけてるのに地元の人にも嫌われてしまう鮒ずし

とても不憫である

支持するのは酒飲みぐらいなのだろうか?

滋賀県の旅番組では芸能人も鮒ずしを食べてはみんな揃って「美味しい」とは言っているが果たして本心からそう思ってる人は少ないのかもしれない

まぁ俺も無理には勧めない

俺も漫画「もやしもん」を読むまでは発酵食品はそれほど好みではなかったからだ

でも発酵好きになるとたまらない鮒ずし

本当の鮒ずしは手間暇かかってるだけに値段も高い

そんな鮒ずしを手頃に楽しめる今回のポテトチップス

残念ながら近畿地方限定販売となるが、多分大量に売れ残り他地方のスーパーやドラッグストアなんかに安く出回るはずである

冥土の土産として是非一度は食べてみたいポテトチップス「鮒ずし」味

試作品は通常の倍となる60回以上

「滋賀といえば鮒ずし。逃げるわけにはいかない」

担当者の熱い思いが詰まった鮒ずし味

滋賀まで買いに行きたいぐらいだな

でもおそらく非常にマイルドな味になっていて多分食べたら美味いと思う

それだけに鮒ずし好きにはいまいちな製品になるかもしれない

やはりトロトロに発酵しまくったご飯の部分も再現して欲しいものである

大人のポテチ

鮒ずし味として