鯖棒亭日乗(下)

日常の記録写真と駄文  sababoutei@gmail.com

2017年ブエルタ第15、16ステージ

2017年ブエルタ・ア・エスパーニャ

第15ステージ

連続する長い長い山岳をこなす登りゴール

そしてコース距離は129・4キロと短い高速レース

見てる側にはありがたいが選手にはキツイレースになる

真ん中に1級山岳があり最後に1級、超級とほぼ連続して続く

そのために最後の2つの山岳は合計すると30キロもの長距離を登り続けることになる

幸いなのは勾配がそれほどキツクないことだろうか

しかし逆に考えればそれだけ最後まで高速レースになる

まさに休息日前に生き残りをかけたレースとなる

Jスポーツもほぼスタートから中継になる

実況解説陣も2部構成となる

スタート直後からアタック合戦が始まる

コフィディスから二人、ロゼットとペレス

モビスタのオリベイラと3人がまず逃げる

3人を追走するように集団の中から緑ジャージのトレンティンが最後の望みをかけて飛び出す

おそらくポイント賞の緑ジャージは今後フルームに渡る

しかし僅かでも希望がある限り諦めたくないのだろう

もしかしたらフルームがリタイアする可能性もあるかもしれない

結局逃げ集団は8名となる

中間スプリントではトレンティンがトップ通過

ここまでは予定通りだ

しかし無情にもやってくる1級山岳

ブエルタ名物激坂だ

激坂の破壊力は大きく逃げ集団は粉々に破壊される

その中から生き残ったのがコフィディスのロゼットとロットソウダルのアルメだ

メイン集団はスカイとアスタナがコントロール

常に射程圏内

アスタナがかなりやる気を出している

おそらくミゲルアンヘル・ロペスの調子がかなり良いからだろう

かなり目立つジャージなのにアルの存在はすっかり忘れがちである

最初の1級山岳でアダム・イェーツがアタック

トレックのステティーナが反応

さらにバルデ、クライスヴァイクなど総合は厳しいエースたちがステージ勝利目指して逃げ集団の追走を開始する

高速レースの中コンディションの悪いものは脱落する

BMCのニコラス・ロッシュ、山岳賞ジャージのヴィレッラが脱落

偉大すぎる父親を持つ男とチーム存続の危機に直面している男

様々な思いの中での脱落である

アダムたちは先頭のアルメを捉える

そしてそのままカウンターで抜き去る

このアタックに今まで付いてきたバルデやクライスヴァイクはついていけない

先頭はアダムの独走態勢に

先頭のアダム・イェーツがメイン集団から2分差をつけたところで、この日もこの男が攻撃を仕掛ける

最後の最後まで諦めない引退レースのコンタドール

そしてこの日の相棒は絶好調のミゲルアンヘル・ロペス

キンタナ同様、年齢の割には風格のある顔立ち

総合8位のコンタドールと総合10位のロペスがメイン集団から抜け出した

ちょっと早すぎやしないか?

と心配になるコンタドールの飛び出しだが最後までダンシングできることを願うばかりだ

この危険な二人の飛び出しに対してもスカイは無反応

先はまだ長い

過去のデータから捕まえる自信があるのだろう

フルームは常に下を向いている

コンタグループはバルデを吸収して最初の1級の下りに入る

下るとすぐに次の1級山岳がやってくる

そして連続して超級山岳とここから30キロの長距離ヒルクライムが始まる

いよいよ超級に突入

独走アダムと追走コンタ集団の差は1分

さらにメイン集団までは1分

この時点でメイン集団は15人ほどまで絞られている

しかしその中にはスカイのアシストは二人残っている

ニエベとポエルス

エースのフルームのための仕事をしながらも残る

本当にとんでもないチームである

これで給料が安ければ超ブラック企業である

残り6キロ

追走から

ミゲルアンヘル・ロペスがアタックを仕掛ける

付いていけないコンタドール

絶好調のミゲルアンヘル・ロペス

この日のキレも抜群だ

一気にコンタドールを置き去りにしてしまう

そのままの勢いで今度は先頭のアダムを捉える

既に限界状態の中で必死に食い下がるアダム

しかし、アダムの心が・・・折れた・・

あまりにもミゲルアンヘル・ロペスが早すぎた

止まるほどのスピードまで一気にペースダウンしたアダムは無線でチームに状況を告げた

そしてバルデやコンタドールもメイン集団へと吸収された

そのメイン集団の中からはカチューシャのザッカリンがアタック

なかなかいい走りを見せるも

ミゲルアンヘル・ロペスは遥か前方

結局この日もコロンビアの新生ミゲルアンヘル・ロペスがステージ2勝目を独走で勝ち取った

2位にはザッカリンで36秒差

3位にゴール直前でアタックしたケルデルマンが45秒差

フルーム、チャベスが同タイムで47秒差

ウッズ50秒差、ニバリ53秒差

ここからさらにコンタドールは40秒ほど遅れた

 

2回目の休息日

 

第16ステージ

個人タイムトライアル

TTにしては距離の長い40・2キロ

しかもスタート地点はサーキット場である

ブエルタ公式の高低表ではそれほどアップダウンは無いような感じ

しかし始まってみるとそこそこアップダウンのあるコースであった

中継が始まると暫定1位はBMCのオス

まだ主役たちは登場していない

個人TTは総合成績の後ろから順番に走ることになる

必然的に後半になるまではアシスト選手が余力を残しながら明日に備えて走る

そのために全員が本気で走るわけでは無い

チームから許されたこの日ステージ優勝できる可能性のある選手と総合上位の選手だけが本気を出すステージである

ブエルタにはマルティンなどのTTスペシャリストは少ない

優勝候補はやはりフルームだろう

他のライバルはいかにしてフルームとの差を最小限に止めるかの戦いになる

そしてここで一気に勝負を決めてしまいたい

将来安泰な貯金をしたいフルームなのだ

ここで貯金できればあとはライバル勢に付いていくだけでいい

多少遅れてもいい

少しずつ貯金を切り崩せばいいのだ

レースはFDJのスウェーデンTT王者のトビアス・ルドヴィクソンが好タイムを出して暫定1位に躍り出る

ゴール後にコース場に倒れる、ルドヴィクソン

限界まで出し切ったみたいだ

このTTスペシャリストのルドヴィクソンのタイムが一つの目安となる

しかし彼を上回る選手はなかなか現れない

そしてついに総合トップ10のスタートだ

ここからはTTが得意不得意関係なく全員が全力で走る

ライバルと少しでもタイム差を縮めるために

コンタドールが登場

現役最後のTT

これでもうコンタドールのタイムトライアルは見納めである

総合系の中ではTTの得意なコンタドール

果たしてどこまでタイムを伸ばせるか?

スタート直後はスピード感がなかったものの第一計測ではルドヴィクソンのタイムを抜いてトップ通過だ

TTでも見せる走りをするコンタドール

TTバイクでもダンシングを多用するのが特徴的だ

さらに第2計測でもトップ通過

ルドヴィクソンのタイムを7秒上回りコンタドールが暫定1位になった

どうやら最後のTTはパワーメーターの数字を隠して機械に頼らずに長年の自分の感覚で走ったそうである

それでこの好タイム

悔いは無いかもしれないなと思ったら、どうやら本人は満足してないらしい

マイケル・ウッズ、アル、ミゲルアンヘル・ロペスチャベス達のタイムは伸びない

みんなコンタドールからは1分半以上遅れた

結果としてコンタドールは総合を9位から5位へとジャンプアップ

奇跡の表彰台も僅かながらに見えてきた

これで3週目もさらに面白くなる

続く選手の中ではケルデルマンがやたらと早い

中間計測でもコンタドールのタイムを軽く上回ってくる

同国のチームメイトのデュムランからの指導があったのだろうか?

コンタドールから30秒早くゴールした

総合2位のニバリは第2計測でケルデルマンから38秒遅れるが後半に挽回して28秒遅れでゴール

なんとか総合2位をキープした

そして最後の出走フルームだ

スタート直後はそれほどペースが上がっていなかったが、それもすべて計算づくなのだろう徐々にペースアップ

中間計測でも圧倒的なトップタイムを叩き出す

やはり役者が違う

総合系でありながらもステージを狙えるTTスペシャリストだ

2位のケルデルマンに29秒もの大差をつけて優勝

総合でも2位のニバリに対して1分58秒

3位のケルデルマンに2分40秒

4位はザッカリンで3分7秒

5位にコンタドールで4分58秒だ

 

やはり個人TTはフルームステージ

そしてこの日も見せたコンタドールも総合5位にジャンプアップした

しかし表彰台の1番高い場所じゃ無いと満足しない男コンタドール

最後の最後まで攻撃的な走りを見せて欲しい

最後の山岳で世界中の人のお口をアングリルだな

顎が外れるぐらいに