鯖棒亭日乗(下)

日常の記録写真と駄文  sababoutei@gmail.com

割り込みフルーネウェーヘン4勝フルーム

2017年ツール・ド・フランス第21ステージ

いよいよ最終ステージ

スタート時は198名だったプロトンも167名にまで減った

3週間の長き戦い、選手も視聴者もこの日だけはお祭り気分である

パリ・シャンゼリゼを目指すプロトン

スタートしてからパリの周回コースに入るまではパレードランだ

俺がツールを好きなった理由の一つがこの最終日のパレードラン

ライバルたちもパリの周回コースまでは終戦協定

3週間走りきったご褒美、同僚、同国同士、お友達同士

時に悪ふざけ、そして談笑

みんな仲良くのんびりとパリを目指す

優勝チームはチームカーからシャンパンをもらい乾杯だ

まずはマイヨジョーヌのフルームが

そしてスカイのチームメイトにもシャンパンが配られカメラマンもスタンバイ

さぁ乾杯だ!

「ん」

キリエンカだけシャンパンがない

「ん」なぜかマシューズがシャンパンを持っている

そして飲み干し逃げるマシューズ

どうやらマシューズがキリエンカのシャンパンを飲んでしまったみたいだ

コンタドールから話しかけてフルームと会話している

この光景も今年で最後なんだろうか?

前日のTTがよかっただけにもう1年ツールを目指して欲しい

本人もこのままでは終われないのでは?

ひとかたまりで淡々と山を登るだけのメイン集団は見たくはない

今年も開かれるコロンビア人会

コロンビア人が集まって記念撮影

今年の中心はウラン先輩だ

フルームはプロトンのメンバーに挨拶しながら後方へと降りていく

後方に待ち構えるのは総合最下位のチームメイト、ルーク・ロウ

総合1位と最下位が並んで記念撮影だ

途中で女子レースの映像が流れる

特別ルールで開催されたレースが非常に面白そうだ

そして日本の女子も世界に近い場所で戦っている

今年のツールはTTが少ないためにクライマー向けだと言われていたが

バルデとかピノとかバルギルとか

しかし開けてみれば勝敗を分けたのはTT

結局フルームは第一ステージのTTでの貯金を切り崩し20ステージのTTで再び貯金して総合優勝した

山岳ステージの難易度が低かったために総合系同士の差があまりつかなかった

それを最初からスカイは見抜いていてフルームはTTに特化した練習を重ねてきたそうだ

そしてなんでもかんでも除菌除菌と隔離

後半に風邪などで体調を崩す選手が多かったのをみるとスカイの抗菌オタク作戦も大成功だった

来年は日本人アスリートみたいに常にマスク着用とかになるのかもしれないな

とにかく勝つためならなんでもやるスカイ

小さなことだが勝敗を分けたのも確かだ

ワンティのオフルドがアタックする

どうやら彼の地元を通るらしい

昔はよく見られたファミリーアタック

選手の地元を通る時にプロトンに許可をもらい先行させてもらい地元の人への凱旋アピール、そして家族や友人と触れ合うのだ

ツールを走る選手は地元のヒーロー

誰であれ大歓迎される

突然ランダが単独で飛び出す

バルデと1秒差もありおふざけアタック

この日はきちんと終戦協定が結ばれている

スカイとAG2Rのチームカーが横に並び監督同士がお互いの健闘を讃えて握手を交わした

AG2Rのゴティエがカメラに向かって紙を見せている

コースプロフィールと思われる紙には何やら手書きのメッセージが

後ろでは元同僚のローランがハートマークを作り

「キャロリン!」

どうやらキャロリンとはゴティエの彼女で紙に書かれたメッセージはプロポーズ

ツールを走りながらの公開プロポーズである

彼女はゴール地点に来ている

返事はゴール後にということみたいだ

ヴォクレール十大弟子の一人シリル・ゴティエ

幸せになって欲しい

そして新城もゴティエとは元同僚だ

その新城は最後尾で恒例の日の丸を振っている

今年もバッチリと国際映像で映してもらえた

フルームがメカトラでバイク交換

またシマノ製品の不具合だろうか?

いよいよセーヌ川が見えてくる

エッフェル塔も目の前だ

空にはフランス空軍がトリコロールを描いている

心配された天気もなんとか持ちこたえている

そしてプロトンは周回コースへ

パレードランはここまでだ

スプリンターたちの最終決戦が始まる

まずは通常通り逃げ合戦が始まる

インピー、シャバネル、ブルグハートなど9人の逃げが決まる

うかうかしてると逃げ切られてしまうメンバーだ

スプリントチームも前方に出て追撃開始

スーパー敢闘賞をバルギルに持ってかれたデヘントが怒りの引きだ

確かにバルギルの逃げは見せ場を作った逃げが多かったが、デヘントは1000キロ逃げた男

一体何キロ逃げればスーパー敢闘賞がもらえるのか?

審査員のほとんどはフランス人だそうだ

残り40キロで15秒差

残り30キロで20秒差

残り20キロで14秒差

着実に逃げとの差を詰めていく

ヴォクレールは最後尾でファンに手を振る

ホアキンプロトンの先頭に出てお別れの挨拶をしたが

ヴォクレールの定位置は最後尾だ

やはり彼にはこの位置がよく似合う

フランス人低迷の中でマイヨジョーヌの夢を見させてくれて、常にアタックを繰り返す走りでファンを魅了したヴォクレールも今年のツールで引退だ

ありがとうヴォクレール

メルシーヴォクレール

スプリントチームの本気引きに強力な逃げメンバーも吸収寸前

残り12キロ

すると今度はトニー・マルティンがメイン集団から一人飛び出した

さすがにマルテインを逃がしてはいけない

一気にメイン集団は逃げを飲み込んだ

ここからはスプリントに備えて位置取りだ

危険回避なのかスカイが先頭に出て集団をコントロールする

この辺り徹底しているスカイ

抗菌しまくるだけのことはある

そのうち道路まで消毒を始めるんじゃないかな

スカイのコントロール下で最終回に入る

アスタナのグルズジェフがアタックする

これにクイックステップの元シクロクロス世界チャンピオンのスティバールが反応

おなじみの道路端っこの石畳のない部分を走り集団との差を広げる

最後の凱旋門を回る

新城がチームメイトを引き上げながら先頭へ出る

ここで仕事ができるのはさすがである

残り3キロでスティバールは吸収

再び一つの大きな集団に姿を変える

スプリンターチームがトレインを形成

激しい位置取り

ルーブルのトンネルをくぐる

ジャンヌダルクも最後の見送りだ

そして崩壊

残り1キロ、フラムルージュを通過

ストレートからゆるい左コーナー

そして最終右コーナー

フルーネウェーヘンがカチューシャのトレインに割り込む

しかもクリストフの前だ

残り300メートル

ロットNLのフルーネウェーヘンが先頭に押し出される

番手にはクリストフ

まだスプリントしたくないフルーネウェーヘン

後ろを確認しながらタイミングを計る

今だ!

フルーネウェーヘンがスプリント開始

クリストフが番手に付ききれない

離されるクリストフ

横からボアッソンハーゲン、ブアニが迫り来る

そして後方からグライペルが一気に迫ってくる

逃げるフルーネウェーヘン

カメラはグライペル勝利を見越してグライペルを撮影

しかしフルーネウェーヘンの勢いが止まらない

慌ててカメラが前方を映す

手を挙げるフルーネウェーヘン

雄叫びをあげながら何回も何回もガッポーズ

スプリンターの夢舞台を制したのはロットNLユンボのフルーネウェーヘンだった

先行逃げ切り

 

強豪スプリンターをねじ伏せてシャンゼリゼの歴史に名を刻んだ

ゴール後顔を両手で覆って号泣したフルーネウェーヘン24歳

また一人スプリンター戦国時代に名乗りを上げた

 

フルームをはじめ総合勢も無事にゴール

鉄人アダムハンセンも連続グランツール完走記録を18に伸ばした

新城選手へのインタビューが始まる

スタジオの飯島さんも質問する

あの二人の直接会話は今だにドキドキする

本人たちはなんとも思ってないのかもしれないが

表彰式が始まる

フルームの奥さんと子供が来ている

果たして子供は理解してるのだろうか?

ツール4勝の偉業を成し遂げたパパのことを

バルギルのご両親は泣いている

サイモン・イェーツには母親が迎える

本当に誇らしい息子達だろう

奇跡の双子だ

個人的にスーパー敢闘賞の赤い服着たお姉さんが1番好みだ

向かって左側の明るめのブロンドヘアー

表彰台にはヴォクレールが上がる

来年のツールはヴォクレールの地元バンデがスタート地点だ

 

今年もツールが終わった

様々なドラマ、感動を残して

そして本格的に夏が始まる

守った1秒バルデ、復活のウラン、今年も流れるゴッド・セイヴ・ザ・クィーン

来年はランダがスカイを移籍して他チームのエースとしてツールに帰ってくる

リッチーポートも復活を遂げるだろう

バルデにウランの逆襲

スカイ移籍の噂のキンタナはどうなる?

ジロチャンピオンのデュムラン

イタリアの誇りニバリとアル

フルームといえどもツール5勝は簡単には行かないかもしれない

今から来年のツールが楽しみで仕方がない

俺もまた1年、無事ツールが観戦できるように頑張らねば

なんか今年も乗り切った感じがとても清々しい

そして今年もなんか寂しい

それがツール・ド・フランスである

また来年

 

 

最後にメルシーヴォクレール