鯖棒亭日乗(下)

日常の記録写真と駄文  sababoutei@gmail.com

今度こそバルギル

2017年ツール・ド・フランス第13ステージ

ピレネー山脈の2日目

距離は101キロと通常の半分と非常に短いコース

しかし短いから楽ができるのではなく最初から最後まで激しい高速バトルで勝負に絡む選手には非常に厳しいコースだ

今回のコースはどうやら浅田監督率いるエキップ浅田のトレーニングコースだそうで

もちろん教え子の新城選手にとっても地元みたいなコースである

それだけに今日は逃げたいところ

しかし他にも逃げたい選手は多い

そしてこの日はフランス革命記念日

フランス人にとっては大切な日である

日本人の場合は愛国心がありすぎるとそれはそれで少々厄介なことになるからな

建国記念日とかも曖昧だし

前日はアルがマイヨジョーヌを獲得

果たしてスカイはどう出るのか?

正直このままの差で20ステージのTTまで行ってしまえばフルームの総合優勝はほぼ確定である

よほどのことが起こらない限りは

その他の総合争いは1秒でもフルームから差を広げておきたい

アル、バルデ、ウラン

しかしアシストがあまり機能していないだけに勝負どころまではコバンザメ戦法でいくしかないだろう

そしてアスタナの貴重なアシストでありエースでもあるフグルサングがパーレードランからおかしい

両手を離して走るフグルサングに余裕は全くない

どうやら相当骨折した手が痛いみたいだ

おそらく痛みでハンドルに手を置けない状態

そしてフグルサングは痛みをこらえて走るもレース途中でリタイアとなった

この日のコースは1級山岳を3つ登ってから下って平坦走ってゴール

最後の1級山岳を終えてからも先は長い

どこで誰が仕掛けるのか?

それとも仲良く総合系集団でゴールするのか?

レースが始まった

早速ヴォクレールがアタック

そしてバルギルもアタックをかける

ヴォクレールは引退前にもう一花咲かせたいベロベロアタック

バルギルはもちろん山岳賞アタックだ

しかし逃げたい選手は他にも多い

次から次へとアタックがかかる

やがてシャバネル、ジルベール、デマルキの3人逃げに

しかしこれも決まららない

新城も積極的にアタックを繰り返すが決まらない

そうこうしてるうちにスプリントポイントが迫ってきた

これでしばしアタック合戦は休戦

とりあえずはスプリンターの争いだ

マシューズ、キッテルの順番で通過

少しだけマシューズがキッテルとの差を詰めた

スプリントポイントを過ぎると再びアタック合戦

新城が入る10名ほどの逃げグループができるも決定的なものとはならない

そのまま1級山岳へ突入

デマルキが抜け出して最初の1級山岳を通過する

スタートから激しい超高速バトル

すでに残り70キロ地点

メイン集団からコンタドールがアタック

この日のコンタドールはかつての輝きを取り戻しつつあるかのようなキレがある

そこになんとスカイのランダがついていく

コンタとランダ

スペイン人連合で仲良くローテーション

メイン集団から20秒ほど差をつけて山頂を越えた

そして先行するデマルキも交わして先頭へ出る

まさかのコンタランダの逃げ

早め早めのコンタの仕掛けは予想通りだが決まるとは思わなかった

しかしコンタドールが元気だとツールは面白くなる

たとえ総合上位は難しくとも

ランダの逃げは全く予想していなかった

前日に監督ともめたことが関係してるのだろうか?

本当のことはスカイの中の人にしか分からない

スカイはいつも通りに集団をコントロールしてフルームを発射させたほうがいいような気もするが、とにかくランダは逃げた

次の1級山岳に入ると

メイン集団からはキンタナが飛び出す

これに反応してバルギルとクウィアトコウスキーがアタック

3人で追走グループを結成する

かなり豪華な逃げメンバー

メイン集団はタイム差2分半ほどでコントロールする

先頭のコンタランダと追走のキンタナたちとの差は30秒

2つ目の一級山岳を越えた

そしてすぐに最後の1級山岳がやってくる

全く談笑する暇もないこの日のステージ

ランダは仕切りにコンタドールを励ましながら走る

最大勾配18パーセントの壁が迫る

追走のキンタナ、バルギルもぐんぐん追い上げてくる

山頂付近でコンタランダにキンタナたちが合流

山岳ポイント目指してバルギルがアタックしてポイントゲット

これでこの日の目標の半分以上は達成した

あとはできることならステージ優勝

今度こそ勝ってガッツポーズをしたい

クウィアトコウスキーはどうやらチームからフルーム介護のために呼び戻された模様

メイン集団に合流して総合争いのメイン集団は8人となる

アル、フルーム、バルデ、ウラン、イェーツ、マーティン、マインティーズ、クウィアトコウスキー

メイン集団は先頭から1分43秒遅れで18パーセントの壁を越えていく

先頭の4名は仲良くローテーションして下りをこなしてゴールの街へ入る

メイン集団との差は再び2分まで開く

勝負はスプリント勝負に持ち込まれる

コーナーの多い街中を走り抜けていく

スプリント力はほぼ互角だろう

最初にコンタドールがアタック

キレのいいコンタのスプリント

しかしバルギルが反応してコンタを交わす

そしてそのままゴール

フランス革命記念日にフランス人バルギルが今度こそ本当にステージ優勝を遂げた

しかし今日は泣かないバルギル

でも嬉しいバルギルであった

 

残すは総合争い

最後の下りは勾配が緩く結構踏みこめる下りだ

そのために集団での牽制アタックが続く

フルームにバルデにウラン

だが決まらない

さすがに完全マークから抜け出せない

そこで比較的マークのゆるいDマーティンとサイモン・イェーツが飛び出す

この二人なら多少は先行させてもOKだ

結局二人はバルギルから1分39秒差でゴール

フルーム集団も特に争いもなく同タイムのゴールとなった

先頭との差1分48秒

総合上位の順位は変動なしだ

そしてランダが総合5位まで上がった

再び生まれるのかスカイの中の確執

ただTTが残ってるだけにランダがフルームを交わすのはかなり厳しい

 

敢闘賞はコンタドール

真の敢闘賞はバルギルだろうが「頑張ったで賞」的な敢闘賞に、あまり嬉しそうでないコンタドール

やはり彼が欲しかったのはステージ優勝

そして我々が見たかったのは久しぶりのバキューンである

そんなコンタドールが子供の頃からの憧れだったバルギル

憧れの選手を力でねじ伏せてのステージ勝利となった

総合は無理だが山岳賞は独走中だ

今後はフランス人マイヨジョーヌ獲得のためにチームを超えてアシストしたいとも語った

次なる勝負はアルプスである

 

今日は一癖ある平坦ステージ

細かなアップダウンもあるそうで一筋縄にはいかないステージみたいだ

そしてここはエキップ浅田の本拠地

これはもう新城の逃げを期待するしかない

おそらくキッテルはスプリントには絡めない

スプリント勝負ならマイケルマシューズだろうが

期待を込めて優勝は新城の逃げ切りで

 2位はヴォクレール3位ゴティエと同僚対決で