鯖棒亭日乗(下)

日常の記録写真と駄文  sababoutei@gmail.com

フレッシュ・ワロンヌ 2017

ユイの壁

最大勾配26%、まさに壁

そんなユイの壁が登場するサイクルロードレース

フレッシュ・ワロンヌ

春のアルデンヌクラシックとしてベルギーのワロン地域で開催される歴史の長いレースである

日本人の俺としてはいつも「新鮮な笑い」と変な直訳をしてしまいがちだが

フレッシュというのはフランス語で「矢」を意味するそうで、フレッシュワロンヌとは「ワロンを貫く1本の矢」と言う意味である

この意味が最後に分かる今回のレース

ただいまバルベルデが3連覇中なのだ

コースとしては距離の短い登りがちょこちょこ出て来て最後に壁が登場

前半はこれといった動きは無く逃げをコントロール化に置いてプロトンは、たんたんと進んで行く

コート・デレッフ(2100m/5%)

コート・ド・シュラーブ(1300m/8・1%)

ミュール・ド・ユイ(1300m/9・6%)という3つの上りがある29キロの周回コースに入ってから本気を出すレースである

ちなみに周回数は2週であるが周回前に1回ユイの壁は通過するのでユイの壁は3回登ることになる

今回はユイの壁直前にあるコート・ド・シュラーブがポイントとなりそうだ

そんなフレッシュワロンヌだがようやく俺は昨日全部見ることができた

レース当日は生放送にも関わらず放送開始10分後には寝てしまった

どうも花粉症の薬とアルコールは相性が悪いみたいで酔いが早いのだ

ジルベールホアキンが勝った頃は最初から最後まで寝ないで見れたのに

やはり歳は取りたく無いものである

しかしJスポーツなら録画も簡単で高画質、録画しとけば気軽にいつでも大画面で鑑賞出来る

それはもうダゾーンなんかとは比べ物にならないぐらい快適である

そんなフレッシュワロンヌ今年で81回目

レース開始時は気温6度という情報が

逃げは6名

プロトンは主にモビスタがコントロールしながら逃げを追走する

テレビカメラが新城を大きく写す

地元でも注目されているのだろうか?

トレックの別府も先頭付近でアシストするのがチラチラ写る

新城も新チームになりさすがに今までのような一番後でヒラヒラとは走らせて貰えないみたいで、しっかりと前方でチームから与えられた仕事をこなしている

レース前半は何にも起こらない

ココで動いても無駄な力を使うだけである

動くのは周回コースに入ってから

そして周回コースに入ると逃げとプロトンの差は1分まで縮まった

残り45キロのコート・デレッフでBMCのデマルキがアタック

いよいよ各チームが本気を出し始めた

一旦デマルキはモビスタに捕らえられるが、次の坂、コート・ド・シュラーブで逃げ集団が吸収されると再びデマルキが仕掛けて独走の一人逃げに入る

今まで何回と無く見て来たデマルキの逃げ

ぐんぐん差を広げて行く

デマルキは2回目のユイの壁を20秒差の単独で超えると今度はクイックステップのユンゲルズスが飛び出した。ルクセンブグチャンピオンである

今回はジルベール、アラフィリップの両エースが欠場となったクイックステップ

ここで一か八かの作戦開始だ

残り25キロ地点でユンゲルスはデマルキに追いつき二人でゴールラインを目指す事に

このとき30秒差だ

しかし途中でデマルキは力尽きてユンゲルス単独の逃げになる

TTポジションを取り一人たんたんとペースを刻んで行く

メイン集団との差50秒で最後のコート・ド・シュラーブに入る

ユイの壁の直前にあるこの坂道

予想以上に破壊力があって面白い見所ポイント

メイン集団も活発になりマイカなどがアタックを仕掛けてペースアップ

先頭のユンゲルスとは30秒差まで縮まる

残り5・5キロ

シュラーブの頂上を超えたユンゲルスが下りに入る

逃げ切れるか微妙なタイム差

なんせ最後に待ち受けるのは壁である

メイン集団もアタック合戦になりどんどんペースアップ

ここで少しでもモビスタをバルベルデの足を削らないと勝ち目は無い

36歳のおっさんだと甘く見ていると痛い目に合うのだ

集団はハイペースのまま最後のユイの壁へ突入

一気にペースが落ちる先頭のユンゲルスを吸収して飲み込み吐き出す

距離は残り1キロほどだが、相手は壁である

ここでバルベルデが先頭に出ると他のライバル勢も必死にしがみつく

ウリッシ、クウィアトコウスキーだ

残り200メートル

意外なチームFDJの誰かが飛び出した

若干20歳「ダヴィ・ゴデュ」フランス人である

しかし36歳のおっさんでありながら毎年毎年しかも1年中絶好調なバルベルデがしっかりチェック

残り150メートルでいよいよバルベルデが本気の踏みを始めると、もう誰も彼にはついてこれない

後続との差をぐんぐん引き離しもうすぐ37歳にもなろうかというスペインのおっさんは余裕の矢を射るポーズ

まさに「ワロンを貫く一本の矢」となったバルベルデ前人未到の4連覇

そして自身通算5勝目となる2017年のフレッシュ・ワロンヌを制した

2位には不屈の男 Dマーティン(クイックステップ

3位にはディラン・トゥーンス(BMC)が入った

 

いったいバルベルデはどうなってるのか?

36歳にして今年も絶好調

結果的に俺の予想も当たったわけだが正直期待を込めての予想だった

さすがのバルベルデもそろそろヤバイんじゃないかと正直思っていた

しかし36歳になっても爆発的なパンチ力は健在だった

ホアキンがあれだけ衰えたのを見ていると

やはりこの男凄すぎる

春のクラシックからブエルタ、世界戦まで常に1年中絶好調で勝ちまくる

日曜日のリエージュ〜バストーニュ〜リエージュも楽しみである

そしてリエージュの俺の予想もやはりバルベルデ