鯖棒亭日乗(下)

日常の記録写真と駄文  sababoutei@gmail.com

31歳の男が小児切符でJRに乗ろうとして逮捕

差額110円、「節約したかった・・・」

この言葉だけ聞けば倹約家だなぁと思ってしまう所だが

俺も最近では10円20円をケチりながら生活している

あまりにもケチりすぎて余計な出費になることもしばしば

「あっちのスーパーの方が10円安かったぞ」と思い、車を走らせるもよく考えたらガソリン代で損してしまうのである

まぁ俺の場合は自分が損するだけだ

しかしこの31歳の男は逮捕された

容疑は「電子計算機使用詐欺未遂の疑い」だそうだ

なにやら聞き慣れない犯罪ではあるが

ようするに福岡県在住の31歳の男がパチンコ屋からの帰りにJRの電車に乗ろうとしたところで「もしかして子供用の切符で乗れば110円得するんじゃないのか!」とひらめいてしまったのだ

おそらく「俺って天才だな」とでも思いながら子供用の切符を購入したのであろう

しかし世の中そんなに甘くは無かった

男が切符を購入したのはJR今宿駅

この駅の改札機では小児切符を使った場合に矢印マークが点滅する仕組みになっていたのだ

そんなこととは露知らず

「ちょ、待てよ」と駅員さんに呼び止められてしまった

時は2月25日午後0時14分ごろ

まさに昼である

無職なので休日とかは関係ないのだろうが、10時開店でこの時間に帰宅とはおそらくパチンコに負けたのであろう

ありったけの金を無駄に消費してしまったのだろう

こんな時はみな自分が犯した愚かな行為を自分自身に対して失望するのだ

そして少しでも取り戻してやろうと

それが110円だった

本来なら31歳なので210円払わなければならない

しかし彼は小児用の110円切符ですり抜けられると思い詐欺をした

しかしこの駅に設置されていた自動改札機では小児期切符が使用されると

矢印が・・・・ピカピカと・・・光るのである

その光を確認した駅員さんが31歳の男を見る

あ、あいつは・・明らかに・・・子供ではない

コレは大変だ!となり逮捕となってしまった

本当に愚かである

110円程度なら日々の暮らしの中でいくらでも取り返せるのに

無職だと言うが逮捕歴があっては再就職も難しくなる

たぶん不起訴にはなると思うが

たかが110円

されど110円なのであった

 

ちなみに今日の俺は今年初の山方面へと自転車を走らせた

冬になると積雪や凍結の為に平坦ばかりになる

そろそろ大丈夫だろうと思い、いつもの走り慣れた道を進む

なぜかいつも橋を超えた所で天気は一変する

そして山は常に雨が降る

広範囲の天気予報は晴なのだが山に行くと小雨がパラパラなんてことも珍しくは無いのだ

そして予想通り路面はヌレヌレ

時速20キロ程度でのんびり走る俺

老人マークを装着した車は低速で俺の横に並びながら徐々に幅寄せしてくる

たぶん感覚が分かっていない

そして俺が見えていない

あの人たちは前しか見ない

前の狭い範囲しか

白線まで追いやられる俺

濡れた白線は滑る

俺は減速して車を先にいかせた

以前、車に嫌がらせの幅寄せをされて白線に乗り滑って転んで後続の車に惹かれた人の話を聞いたことがある

車は軽い気持で嫌がらせするが、こちらは死ぬ危険性もあるのだ

そんなヌレヌレ路面をえっちらと久しぶりに軽めの登りを走る

ダメだ体が重い・・・まったく登れない

いつもより二つも軽いギアなのに無酸素に突入してしまっている

おっさんになると毎年のように自分の体力低下を実感することとなる

5年前なら時速30キロで軽快に走れた坂なのに・・・

今日は時速20キロがせいいっぱい

それも無酸素でだ

息があがっている

しかしこんな緩い坂でハァハァしてるのも恥ずかしいので無理して口を綴じてみる

「俺は有酸素域で余裕で登っちゃうんだぜ」って感じで

しかし、く、苦しい・・・

まぁ仕方が無い

ダウンアンダーのサガンもまだ本調子でないのと同じだ

俺の目標はあくまでも7月

ツール・ド・フランスなのだ

ツールの季節にまるで羽が生えたかのように笑いながら登ればいい

今はゆっくりでいい、ゆっくりで

俺はいつもの峠はスルーしてお寺で参拝だけして帰る事にした

ご本尊は十一面観音

「おんまかきゃろにきゃそわか」十一面観音の真言である

背中のポケットから小銭入れを取り出す

自転車用に作った度入りサングラスを装着したままなので手元がよく見えない

「これかな?」俺は硬貨を一枚摘んで賽銭箱へと静かに入れた

俺が入れたお賽銭の音がやけに重たい音がする

俺が入れたのは1円玉のはずだが・・・もしかして間違えた?

100円玉か?

果たしてこの時に俺が入れたお賽銭が1円玉なのか100円玉なのか確認は取れていない、しかしこのことが気になってしまい俺は今日の缶おしるこを中止にしたのであった

それにしてもZOFFで作った度入りのサングラス

一応「走れるメガネ」が売りのスポーツ用であるが

やはり自転車専用品と比べると顔へのフィット感がいまいち

まぁ値段の差が5倍以上あるからな、これまた仕方が無いのかもしれないが

少し風が吹くとレンズと目の間に風が侵入してきてしまい前が見にくい

涙が出て来て止まらない

俺は悲しくも無いのに涙を流しながら家まで帰って来た

途中で何回も何回もサングラスを外して涙を拭いた

休日に一人自転車で走りながら涙を流すおっさん

あきらかに不審者である