鯖棒亭日乗(下)

日常の記録写真と駄文  sababoutei@gmail.com

アジフライ定食と愛情生活と鯛のかま大根

今日は雨である

そして寒い

まぁ2月だから寒いのは仕方がない

インフルエンザが流行ってるそうなのでマスクを装着してマッサージをしてもらいに行って来た

マッサージと言ってもいやらしい方ではない

正当派の治療目的のマッサージである

カチコチになった全身の筋肉をほぐしてもらう

マッサージは人間が持つ再生能力を利用して治療するらしい

壊れた筋肉を揉みほぐすことで破壊して再生させる

そしてその筋肉が再生する時にまれに痛みが出ることがあるのだが

これが世間で言う「揉みかえし」と言う奴の正体なのだ

知らない人はクレームを言うそうだが症状が酷い場合はある程度の痛みは仕方が無い

そのうち納まるのである

何事もがまんがまん

 

マッサージを終えた俺は一路名古屋駅を目指した

いわゆる名駅と呼ばれる場所である

ちなみに「なえき」では無く「めいえき」と読む

巨大な地下空間の街である

俺が名駅に向かったのはランチをとるため

今日は時間が12時なので周辺のビルのレストラン街は既に行列ができてしまっている可能性が高い

なので比較的お客の少ない昔からある地下街の定食屋を目指した

まぁ俺はここの定食屋でよく食べる

迷った時はこの定食屋と決めているのだ

店の名は「まつなが」

魚料理系定食がメインでその他きしめん味噌カツなど一応名古屋飯系も揃っている

その時の仕入れや季節などで日替わりのメニューもある

店頭の黒板に書かれているのだが

俺はまずこの黒板をチェック

食べたい物があれば店に入るという寸法だ

ただこの店も、もたもたしているとあっという間に行列ができてしまう

とりあえず席を確保してからメニューで迷う方が得策かもしれない

俺は黒板のメニューを確認

日替わり定食は鯛と甘えびの刺身にからあげが付いてくる

これも魅力的なんだが

後は鮭フライとか白身魚フライなどどれも1000円前後のメニューが並ぶ

その中に俺がいつも食べるアジフライ定食の名前も書かれていた

俺は迷った

いつもアジフライばかり食べてるから今日は白身魚にしようかな?

値段的にはアジフライの方がやや安い

俺は白身魚のフライ定食980円と心に決めていつものように右手の人差し指を天に掲げながら店内に侵入した

すぐにこちらを常にチェックしているオーナーらしき人から俺が座るべき場所を指示される

俺は指示通りに二人がけの小さなテーブルに腰掛けた

ここは相席になることもあるので荷物は床に置いた

カウンター席は確か1席だけある

俺も一度だけカウンターで食べたことがあるが

あのカウンターはなかなか食べづらい

今日は周辺の店で働いてる風のお姉さんが一人ランチをしていた

あのカウンター席には食べること楽しむ余裕は無い

ただひたすら胃袋に押し込んで退却するのみである

お茶とおしぼりが運ばれる

俺は「しろみざ・・・・」と注文しようとした時に俺の隣でアジフライを食べているおばさんが目に入ってしまった

その瞬間俺はなんと「アジフライ定食と生ビールで」

嗚呼今日もまたアジフライを注文してしまった・・・・のであった

俺はカウンターに座っているお姉さんの後ろ姿を眺めながらビールを飲む

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定食には冷や奴と味噌汁と漬物と白飯がつく

生ビールを頼むとまず定食に付く冷や奴をつまみとして出してくれる

これはとてもありがたいサービスである

俺は醤油を垂らし冷や奴をツマミながらビールを頂く

至福の時間の始まりである

まぁ豆腐はいたって普通の豆腐

でもこれがいい

否これでいいのだ

そして混んでいてもそれほど待たされること無く定食は出て来るのだ

こちらはもう少しのんびりとビールを飲んでいたいところだが流石に表の行列を見てしまうと「なるべく早くしないとな」と思ってしまうのだ

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小さなアジフライが2匹

揚げ立てサクサクである

俺は慣れた手つきでレモンを搾る

ついでにキャベツにもレモンを搾る

皿にはタルタルとカラシがたっぷりと添えられている

まずはタルタルとカラシをアジフライに付けて一口

「サクっ」

今日も相変わらずサクサクだ

ビールが美味い

しかしアジが肉薄のせいか衣がアジ本体の味に勝ってしまっている

でもこれでいい

否これでいい

なによりサクサクなのだから

俺はソースをかけたキャベツをむしゃむしゃ食べる

ビールをぐびぐび

次はアジフライにソースをかけてみる

サクサクサクサク

ご飯をぱくぱくご飯をぱくぱく

アジフライをサクサク

ビールをぐびぐび

できればアジフライでビールを飲んでからご飯に行きたい所だが

俺は腹ぺこである

どうしてもご飯に手が出てしまう

そしてまずアジフライで飲もうものならご飯に行く前にアジフライが無くなってしまうのだ

ご飯の量はそこそこの量がある

この量のご飯を味噌汁と漬物のみで食べるのは少々ツライのである

なのでどうしてもまずご飯から片付けてしまう

残りのアジフライは一切れ

さてどうする?俺

残りのビールはあとふたくち程度

冷や奴がまだ少し残っているな!

これでビールを一気に流し込んだ俺は最後のアジフライに醤油をかけた

まずはそのまま醤油のみで

ご飯をぱくぱく

次に残っているありったけのタルタルとカラシを残りのアジフライでキレイに拭いながら残りのご飯の上に乗せて一気にかき込んだのであった

後は味噌汁を飲み干し漬物で締めたらお茶を飲む

並んでいる人に申し訳ないのでそそくさとお金を支払い店を後にした

また来ちゃうんだろうな

なぜか店選びで迷った時はここで食べてしまう俺であった

 

その後俺は高島屋へと向かった

チョコレート売り場が凄いことになっている

しかしこれほどのチョコが売られて買い求める女性達がいる

みんな大荷物を掲げている

それなのに何故俺にはチョコレートが回って来ないのであろうか?

毎年のことながら不思議で仕方が無い

あの大量のチョコはいったい誰の手に渡っているのであろうか?

そんな俺は心の中で今年も呟くのであった

「チョコはちょこっとにしておけよ」

俺はそのままエスカレーターでひたすら上を目指した

上と言っても決して鈴蘭のてっぺんを取る為ではないが

上の階には本屋があるのだ

縮小された本屋

岩波文庫の品揃えが最悪なまでに縮小されている

もうダメだなここ

俺は新潮文庫など他の売れ筋系文庫を物色した

すると俺の目に一冊の見慣れた本が

「こ、これは愛情生活!」

 

愛情生活 (角川文庫)

愛情生活 (角川文庫)

 

 あの天才写真家の亡き妻、陽子さんが書いた傑作エッセイである

20年の時を経てついに文庫化されていたのだ

俺は当然のことながらハードカバーは持っているのだが

思わず手に取ってページをめくる

やはり面白い

京都の旅など読んでるとまた京都に行きたくなってしまう

そして俺はこの本を読んでいつか新婚旅行で荒木夫妻と同じコースを辿ろうと思ったのであった

京都と柳川

その新婚旅行の模様は写真集にも残されている

センチメンタルな旅

とても赤裸々な新婚旅行が

そしてその中には既に陽子さんの死を予言するかのようなカットが・・・

この写真集は当時限定で私家出版されたものを限定で復刻

俺は1冊持っているがすでに復刻版も入手困難みたいだ

この写真集には陽子さんのヌードはもちろん夫婦の夜の営みも写されている

そんな赤裸々な写真集を陽子さんは当時働いていた電通で同僚に売り歩いたのであった

まぁ今も残ってれば凄いプレミア本なんだけど

 

センチメンタルな旅

センチメンタルな旅

 

 そして陽子さんの死と合わせた

センチメンタルな旅と冬の旅

 

センチメンタルな旅・冬の旅

センチメンタルな旅・冬の旅

 

 涙無くしては見られない写真集

新婚旅行から始まり死へと向かう写真達

これほどまでにページをめくるのがツライ写真集は無いのだ

そんな陽子さんの書いた愛情生活

荒木氏との出会いから新婚旅行に旅と食と愛が詰まった傑作エッセイ

ちなみに荒木夫妻の結婚式では新婦の陽子さんのヌード写真がスライドショーで上映され陽子さんのおばあさんがショックのあまり3日ほど寝込んだそうである

天才アラーキーを作り上げたのは、まぎれも無く妻の陽子さんである

本当にこの夫婦は面白い、そしてステキなのだ

そんな夫婦の愛がつまった一冊

是非興味を持った方は読んでみて欲しい

 

その後俺は一冊の本を購入

 武士の娘

全米ベストセラー

大正時代には世界7ヶ国で翻訳された名著

 

内容(「BOOK」データベースより)

杉本鉞子は、1873年、越後長岡藩の家老の家に生れ、武士の娘として厳格に育てられた。結婚によりアメリカに住むようになり、すべてがめずらしく目新しい暮らしの中で「武士の娘」として身につけたものを失うことなく、また自分にとじこもることもなく、みごとに自立した考えを身につける。今日に通じる女性の生き方を見る上にも、当時の風俗や生活のありさまを知るためにも、高い価値をもつ

武士の娘 (ちくま文庫)

武士の娘 (ちくま文庫)

 

 少し読んでみたがこれもまた面白そうである

 

そして俺はひたすら下ることになる

下へ下へ

勢い余って地下にまで潜ってしまう

デパ地下

和洋スイーツと総菜のパラダイス

ここで俺は夜の酒のアテを購入

鯛のかま大根 540円

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京料理の美濃吉で購入

これから酒を飲む

これもまた楽しみである