2017年1月5日午前11時半頃
俺は八坂神社前のいづ重さんを出た
観光シーズンに比べると人通りはかなり少ないが
それでもやはり人は多い
八坂神社の屋台を眺めながらどんどん先へと進む
ここはいろんな屋台が出ていて気になるが流石に京都まで来て屋台で食べたくは無い
同じ価格でもっと美味いものがいくらでも食える
今宮神社まで出向いて「あぶり餅」を食べたい所だが
あいにく俺の股関節は既に悲鳴を上げている
昨日は4万歩弱歩いた
おそらく今日はもう東山エリアを回るだけで限界であろう
タイムリミットは二時
それから四条駅のコインロッカーで荷物を出して京都駅へと向かう
それまではのんびりと東山散歩である
八坂神社までは良く来る
俺は哲学の道が好きなんでまずは蹴上げまで地下鉄で移動
そのまま知恩院など経由して祇園まで歩いてくるということが多かった
東山を回る時は京都駅から北上
清水寺拝観はスルーして三年坂、イノダコーヒー、二年坂、八坂の塔、高台寺、八坂神社、いづ重
そんなコースでまわっていた
それでもここ数年は清水寺までは行く事も無く
下河原阿月で三笠(どら焼き)を買ったら引き返すという感じであった
年は取りたく無い
老体には清水の坂はキツイ
大した目的も無いのにあんな観光でしかない門前町を回るのは
京都駅でも買える大量生産されたお土産品
わざわざここで買う必要は無い
しかし今日はさすがに今から他エリアへ回る気力は無い
とは言ってもまだ帰るには早すぎる
なので久しぶりにこの辺りをうろつく事にした
そして目指すは清水寺の御朱印に目標を定めた
そんな俺はときおり小雨がぱらつく中、下河原を歩いて行く
浜作
板前割烹である
かつてこの場所で船越英一郎は涙を流した
京都に通い続けて30年
2時間ドラマの帝王の異名を持つ
いわゆる2世タレントでありながら、今ではすっかり船越英二の息子ではなく
船越英一郎と呼ばれるようになっている
そんな彼が亡き父の姿を感じ
収録中にも関わらず涙したのがこの場所 浜作
彼の涙を見てそっと背を向ける大将の優しさ
そんな浜作
船越英一郎は父親の大反対を押し切って女優の松居一代と結婚した
しかし彼を愛するあまり束縛、嫉妬
若い女優からのメールが届いてしまったばかりに
彼は生涯三回携帯を真っ二つに折られて
鍋で携帯を煮込まれる事となるのであった
たまらず彼は家を飛び出す事になる
さすがに「携帯のたいたん」は食べられない
あの時に親父のいうこと聞いていればなぁ
なんてことも頭をよぎったのかもしれないな
そうすれば勘当されずに
もっと親子としていろんなことを話できただろうに
そんな浜作
もちろん俺はまだ食べた事は無い
そんなことを店の前で思いながらひとり歩いて行く
すると一枚の小さな張り紙に目が止まる
「中でおじゃこ売ってます」
このあたりはちりめん山椒の激戦区だ
すぐそばに「やよい」もある
そんな中で店を構える
しかも一見すると普通の京都の町家
京都にはこういった店はよくある
まぁ中に入れば広々とした空間が広がるんだろうな
俺は先へ進んでみた
なかなか味わいのある暖簾だ
書いてあるのは鳥獣戯画だろうか?
俺は酔いの勢いで中に入ってみた
こ、これは!!
中に入ると普通の玄関
そして静かに商品が二つ
ちりめん山椒と塩こんぶ
900円と書いてある
試食も無い
帰ろうか?
でもさっきから「ピンポーンピンポーン」とチャイムが鳴り響いている
今ここで引き返したら俺は万引き犯に間違われる可能性もある
そんなことを考えていると
店の人がやってきた
狭い空間に一対一でご対面
もう買わずには出られない
俺はどぎまぎしながら「賞味期限はいつまでですか?」と質問した
通常でも1ヶ月、今の季節なら2ヶ月は大丈夫でっしゃろ
「でもそんななごうことかかって食べまへんでっしゃろ?」
俺は土産にしたかったので聞いたのだが
俺が食べるなら直ぐに食べてしまう
この一言が京都なのかもしれないな
余分である
でもちりめん山椒はむちゃくちゃ美味そうだ
自分の分も買いたいが今の俺には金が無い
とりあえず今回は土産で渡して感想を聞いてみよう
俺は一袋購入して店を出た
店を出てからもあのおじゃこが頭を離れない
自分でも食べたい
まぁいい
これはまた来いと言う事であろう
俺にはまだ鳳泉のシュウマイを食べると言う目標もあるし
そして俺は下河原阿月を目指した
昔食べた町の洋食屋もまだ健在だ
しかしいつもならこの辺りにくると良い香りが漂って来るのに・・・
下河原阿月は休みであった
ここの三笠はうまい
一枚一枚手焼きで焼かれた三笠は絶品である
ちなみに三笠とはどら焼きのこと
俺は落胆した
そして店の様子がおかしい事に気づく
いつもなら直ぐに分かるこの店が気づかないで通り過ぎてしまったことに
そうなのだ店の外観が違う
調べてみた
どうやら2011年5月8日に閉店したそうだ
やはり後継者問題なのだろうか?
誠に残念である
こんなことならもっと食べておくべきだった
今調べながら書いているが閉店の理由が分かった
どうやら高齢により今までの味が保てなくなったという事らしい
流石職人である
残念だが同レベルの味を出せる後継者がいない以上は仕方が無い
長い間お疲れさまでした
と遅ればせながら言いたい
でもこれから俺はいったいどこでどら焼きを食べれば良いのか?
美味い和菓子屋は全国にいっぱいある
しかしあの目の前で焼いたふんわりとした生地に上品で優しい餡を食べれる店は中々無いのではないか
あのいい香り
もう嗅げないのか・・・
この店は土産売り場、デパ地下、物産展にも出品しなかった店だし
ここに来ないと食べれない味だった
それがここまで来てももう食べれないのか
これでまた俺が東山に来る理由が無くなってしまった
そんな俺は再び歩き出す
和洋折衷
なかなかいい感じだ
人力車も渋滞に巻き込まれる
八坂の塔に来た
ここもなんか前に来た時と雰囲気が違う
こんな店あったけなぁ
ここで気づいた
電柱が無い!
ちなみに俺が以前撮影した写真がこれだ
この五重塔と電柱の競演が面白くてよく撮影していた場所である
なかなか五重塔と電柱を並べて撮影出来る場所は少ない
それだけ八坂の塔が街中に立っているという事である
景観の為だろうが俺的には電柱を残して欲しかった
これが街撮りの面白さだったのに
残念だ
なんかどんどん新しくなって行く
知らない店も随分と増えた
俺は先へと進む
二年坂へやってきた
すると何やら良いにおいがする
人だかりも出来ている
看板には「とうふまんじゅう」
豆腐の饅頭?
俺は覗いてみた
どうやら湯豆腐屋「奥丹」がやってる店で中におからが入ってるそうだ
これはもう食べるしか無い
俺は財布から250円を取り出して注文した
熱々である
寒い冬にはありがたい
俺はさっそく食べてみた
「ん?甘いぞ!!」
すっかり中華まんを想像していた俺であったがまったく予想を裏切られる味
饅頭の皮がほんのりと甘いのだ
うまいぞコレ!
でもまだおからは顔を覗かせない
店のお姉ちゃんがお茶を出してくれる
ベンチにこしかけお茶をすすりながら食べる
通りには和服のお姉ちゃんがいっぱいだ
いい目の保養にもなる
そして中からでてきたおからの餡もとても上品な味
これはなかなかいい食べ歩き品である
体の中からポカポカになった俺は
一路清水寺を目指すのであった
いろんな店で試食を繰り返す
とくにこれといった物は無いが
梅干し屋の梅昆布茶が美味かったのでお土産で購入
そして他の梅干し屋で昨日の利き酒処336で使用していた梅塩ポン酢を発見
まぁこれは通販でも買えるだろう
スルー
そして到着
盗撮のメッカ清水寺
最近は警察のマークが厳しいので盗撮軍団は嵐山に場所を変えたらしい
見た所、望遠レンズにテレコンとかつけてそうな奴もいない
清水寺も久しぶりだ
小学校の修学旅行と若かりし頃にデートで一回
その後で一人旅で一回来ただけだ
ここはご本尊の秘仏に凄いものがあるが33年に1回しか公開してくれない
なのでメジャーな割には特に見所が無いお寺なのである
今日の目的は御朱印
俺は清水寺の中へと足を踏み入れた
ここでふと俺は思った
清水寺っていったいどこの宗派だ?
調べてみた
778年奈良時代の末に出来たみたいで山号は「音羽山」宗派は北法相宗だそうだ
なにやら聞き慣れない宗派
奈良の北にあるから北がついて北法相宗
いわゆる学問仏教なのか
このあたりのことは俺はまだ勉強不足で良く知らない
下を覗いてみる
結構高い
「清水の舞台から飛び降りる」
なんて気軽に使える言葉じゃないな
本堂でお参りを済ませて念願の御朱印もGET!!
これでもう秘仏公開が無い限り俺が清水寺に来ることは無いだろう
そしてここは桜の季節の撮影スポット
どうせ桜の季節は人の頭しか撮れない
このあたりから眺めるのが一番いいかな?
下から見上げる清水の舞台
なかなかの迫力だ
そして俺は相変わらず大行列の音羽の滝はスルーした
確か俺が小学生の頃は三つの滝別々の意味合いがあったが
恋愛、お金、健康
俺は当然のごとく滝の水を全部飲んでやったのだが
先生から「欲張ると願い事は適いませんよ!」と怒られたものである
まぁその通りその後の俺はとても悲惨な人生を歩む事になるのだが
しかし今回は「滝の水は全部同じです」と書いてある
これは増えすぎた観光客を効率よく捌く為に変更したのだろうか?
もし今なら俺の欲張りなお願いも全て叶えてもらえたのだろうか?
そして俺は二年坂を下って行くのであった
その後の俺はひたすら漬物を試食
あらゆる店で試食
錦市場を抜けて四条駅で荷物を確保
そのまま京都駅へ向かう
この日も3万歩近く歩いている
もう足が限界だ
俺は京都駅で再び試食を繰り返し
納得のいくしば漬けに出会えなかったことに落胆して
大根系を二つ購入した
あっさり漬けと麦味噌漬け
大根系はコスパがいいからである
しば漬けはやっぱり大原までいかないとダメだな
夏に行きたいけど
そうなると俺の植物達が心配だ
まぁまたこれも追々考えるか
そうして俺は再び在来線を乗り継いで帰宅した
これが2017年の京都冬の旅の全貌である
総括してみれば
食べ物は全て満足
サンドイッチも京都中華も京都寿司も
酒もうまいのが飲めたし
お気に入りの酒器も買えた
去年も良い旅だったけど今年も中々のものだ
来年またこの場所に戻って来れるようにまた1年頑張らないとな
俺はお参りしまくった神様仏様に再び強く願うのであった
追伸
1月4日に利き酒処336で購入した川口英利奈さん作のぐい吞み
さっそく使ってみた
飲み口がとても優しくて安酒でも美味く感じる
とてもいい器
大事に使わさせてもらいます
持ち帰りで買って来た「いづ重」さんの鯖寿司
今年も期待を上回る美味しさ
ごちそうさまでした
まずはシャリだけ食べてみる
相変わらずおくどさんで炊かれるシャリは最高である
ネタの鯖はもちろんだがやはりこのシャリも押し具合も素晴らしい
口の中に入れた時のほろほろと崩れ具合が絶妙だ
しかもこんだけ肉厚で脂乗りまくりなのに最後まであっさりと食べられる
昆布の旨味と合わさって
本当にしみじみと美味いなぁ
いづ重さんの鯖寿司
幸せです
なんか今年の鯖は特に美味しく感じたなぁ