鯖棒亭日乗(下)

日常の記録写真と駄文  sababoutei@gmail.com

除夜の鐘の自粛

大晦日の風物詩の一つ除夜の鐘の自粛が相次いでるそうだ

理由は近隣住民からの「うるさい」とのクレーム

同様に盆踊りや豆まきなども自粛が相次いでる

NHKで放送されているドラマ「京都人の密かな愉しみ冬」では京都嫌いだった外人さんが除夜の鐘がうるさい!と怒る場面があった

俺は外人だとうるさく感じるのかもしれないなとその時は思ったのだが

まさか日本人までもあの音をうるさいと感じるとは思わなかった

うちの近所にも除夜の鐘をつくお寺はある

子供の頃は唯一夜更かしを許される日とあって友達と一緒に除夜の鐘を付きに行ったもんだ

大人になった今でも鐘がつけるお寺があると俺は鐘を付く

それは俺の中の煩悩が一つでも除去されてくれれば良いなぁと思うからである

除夜の鐘は煩悩と同じ数の108個付く

そうやって1年間たまりまくった煩悩を消し去ってくれるのだ

たぶん俺一人で煩悩の数は108個を軽く超えてしまうとは思うが

除夜の鐘が禁止になると日本中で煩悩がたまりまくりいずれは大変なことになると思う

人間の煩悩は非常に罪深い

考えただけでも恐ろしい

やはりそうならないように除夜の鐘は付くべきだと思う

ここ10年ほどの俺の大晦日は夜9時には酔っぱらって寝てしまう為に除夜の鐘は付いていないし子供の頃に付いた鐘の音を聞く事も無くなったし

ゆく年来る年の鐘の音も聞いていない

これでは俺の煩悩も消し去られてない可能性もある

やはり大晦日ぐらいは夜遅くまで起きていないと行けないのかもしれない

俺は京都や奈良などで大晦日を過ごした事は無いが

京都や奈良など日本の古都だった場所では今でも昔ながらの風習が残っているであろうと想像される

なので他の地方よりも除夜の鐘を付くお寺が多いような気もするのだが

大晦日になるとそこら中で「ご〜んご〜ん」と鐘が鳴るのだろうか?

尾道なんかも狭いエリアにお寺が固まっているが除夜の鐘はどうなんだろう?

いっせいに鳴り出すとどこの音かも分からなくなりそうだ

それぞれの音色の違いで曲を奏でる事も出来そうな気もする

狭いエリアで複数の除夜の鐘が乱雑にならされた場合

さすがに風情がとは言っていられないのかもしれない

とは言ってもやはり大晦日に除夜の鐘が無いと寂しい

それはもう日本ではないような気もする

先日も坊さん市議の人が援助交際をして逮捕されていたが

近年の日本仏教の堕落も関係していると思うのだ

ほとんどの日本人は一応仏教というだけでほとんど宗教心が無い

自分の家の宗派すら知らないしその宗派の根本となる教えも知らない

でも宗教的なイベントは他宗教でも取り入れてしまうほど大好きなのだ

坊さんですら自宅にてクリスマスパーティーを開いてしまう

大晦日に除夜の鐘を付いて仏様に煩悩を消してもらい

その足で今度は神社へ行って神様にお願いをする

普段は仏も神様も信じていないのに

困った時の神頼み

1年に一回だけ神仏にお祈りをすると言うイベントが正月である

俺が以前高野山で宿泊させて頂いたお寺さんで聞いた話だが

初詣に小さな子供連れた若い夫婦がやってきた

親も子もお賽銭は入れるがその後で手すら合わせずに帰って行くと言う

呼び止めて聞いてみると

お賽銭を入れるだけで願い事が叶う物だと思っていたそうだ

お賽銭は気持である

本来お金を払わなくても神様も仏様も願い事は聞いてくれるはず

一番重要なのは心の底から神仏を信じてお願いをするということなのに

その一番大事な部分が抜けているのだ

なんかここまで日本人の神道仏教に関する知識が薄れているとは正直驚いたが

昔は親から子へ

学校で先生から

と誰かが教えてくれた物だが

さすがにこんな時代だから除夜の鐘をうるさいと思う人が増えて来てるんだろうな

神社に初詣に行くにしてもいきなり大きな神社へ行く人がほとんどだと思う

でも本来なら自分が住んでる地域の氏神様にこそ一番最初に参拝するものである

しかし田舎でも氏神様の面倒を見る人が高齢化してしまいどんどん少なくなって行く

うちの町内でも今年で氏子が解散となった

そして人々はクリスマスを祝う

お釈迦様の誕生日である花祭りを知る人は少ない

ちなみに花祭りは4月8日である

近年では恵方巻きみたいに埋もれていた風習を復活させてビジネスに生かそうとする動きがあるのにどこの企業も花祭りはスルーなのである

まぁ偉そうなことを言っておきながら

そんな俺もクリスマスには少しだけはしゃいでしまうのだが

ケーキ食べたいし

今年もまたどのケーキにするか選べずに店員と後ろに並ぶ人のプレッシャーに負けてイチゴのショートケーキを買っちゃうんだろうな

とにかく今回は除夜の鐘の自粛が相次いでるというお話である