鯖棒亭日乗(下)

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まるは食堂で大あさり天丼980円

大あさり天丼980円

ご存知知多半島の海老フライで有名な「まるは食堂」である

今日は名駅のチカマチラウンジにある、まるはの支店でランチを食べて来たのだ

俺はまるは食堂に入るのは初体験である

誰でも初体験というのはドキドキする物であるが

俺はどうどうとした態度で入店してやったのだ

そもそも何故今まで俺がまるは食堂に行かなかったのかというと

まず観光客用の店と言うイメージが強いのと

やはりお値段も観光客用みたいな感じなのと

そして何故海老フライは名古屋めし?と言う疑問があるからだ

そもそもこの店も名古屋ではない

知多の豊浜である

知多半島なら魚介類はおいしい

しかし名古屋で海老と言われてもピンとこないし

名古屋港や工業地帯を想像してしまい

むしろ不味いようなイメージがしてしまう

そして「名古屋で海老フライがおいしい店ってどこ?」と聞かれた時に全く答える事が出来ないのである。それは俺が名古屋の飲食店で海老フライを食べた事が無いからでもあるが

噂でも全く聞く事がないのである

名古屋市で海老フライのおいしい店は

唯一名前を聞くのがこの知多のまるは食堂なのだ

俺は以前に知多半島を歩き遍路して回った

その時にこのまるは食堂の本店の前も通ったのである

本業は旅館経営

そんな知多豊浜のまるは食堂なのだ

正直な事を言うと俺がこの店を知ったのは中部国際空港が出来たときである

この時にTVでしきりに紹介されていて俺はやけに高い海老フライだなぁと思っていた

そして名駅に出来た時にも見向きもしなかったのである

その俺が何故今日まるは食堂なのか?

話せばそれほど長くはならないので話してみるが

実は今日の俺は蕎麦を食べたかったのだ

まるは食堂のお向かいに新しく出来た十割蕎麦の店が気になっていたのである

俺はさっそくその蕎麦屋を目指したのだ

そして外に出してあるランチメニューを見ようとしたが

なんとそのメニューのすぐ横には店員さんが立ちしきりに呼び込みを行なっているのだ

これでは非常にメニューが見づらい

そして一旦メニューを眺めよう物ならそのまま店内に引きずり込まれてしまいかねない

むかしむかし大都会東京の歌舞伎町で俺たちは無理矢理手を引かれ店の中に引きずり込まれそうになったことがある

「田舎モンをなめんじゃねえ!」

と強引に逃げ出したがぶち切れた店員は傘を振り回しながら追いかけてきやがった

東京はおっかない街である

流石に名古屋の地下空間ではそんなことにはならないであろうが

とにかく俺はその蕎麦屋のメニューが見づらかったのだ

困った俺はふとお向かいのまるは食堂に目を向けてみた

いつも混んでるけど今日は席が空いている

そして俺の目にある文字が飛び込んで来た

「大あさり天丼980円」ランチのみの特別価格である

夜はもう少しお高いみたいだ

俺は「980円」という数字に弱い

1000円札を出してもおつりが来るという980円

とても魅力的な値段である

そして海老フライには興味の無い俺だが大あさりには興味津々である

遥か昔に伊良湖恋路ヶ浜にドライブへ行った時に食べたきりである

そんな淡い思いでのある大あさりに俺は一瞬で心を奪われたのだ

俺は迷う事無く店内に侵入

いつものように右手人差し指を天に掲げて一人だと言うことを店中にアピールした

目の前の長ーいテーブル席に案内された

俺は座った

お茶が運ばれて来た

客のほとんどが海老フライを食べている中で俺は言ってやった

「大あさり天丼と生ビール!」

周りの視線が俺に注がれる

「なんであのおっさん海老フライ食べないんだよ、バカじゃねぇの?」的な視線だ

そんな視線に屈する事無く俺は言い放ったのだ

すると店員さんが俺に言って来た

「ごはんは普通盛りでよろしいでしょうか?」

「はい」

すぐにビールは運ばれて来た

サッポロ黒生である

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しかもパーフェクトと書いてある

俺は店内の壁を見た

どうやらこの店はサッポロ認定の完璧な生ビールを出す店みたいだ

俺はこの完璧生ビールを一口飲んだ

「う、うまいぞ!」

ちゃんと温度管理されていてちゃんとジョッキに注がれているちゃんとした生ビールである

久しぶりにちゃんとした生ビールを飲んだ俺は大変にご機嫌になったのだ

「幸せだなぁ。ぼかぁ」と加山雄三みたいに口説きたい気分である

そんな俺の目の前についに奴がやってきたのだ

大あさり天丼980円

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赤出しとタクアン2切れ付き

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天ぷらは主役の大あさりが2つに茄子とレンコンと海苔の天ぷらだ

揚げたて熱々である

天ぷらは親の敵かのように熱々の所をかぶりつかなければ池波正太郎に怒られてしまう

さっそく俺は大あさりにくらいついた!

「う、うまいぞ」「おまえもか大あさり」

久しぶりに食べる大あさりの美味さに完璧生ビールが大変にすすむ俺である

そして俺はレンコンを食べた

シャキシャキしていて良い塩梅だ980円の天丼にしてはかなり優秀だ

そして俺はそっと茄子の天ぷらをめくってみたのだ

「な、な、なんてことだ!!」

茄子の天ぷらの下から現れたごはんに俺は驚愕したのだ

「これの事だったのか・・最初の普通盛りでいいですか?と確認してきたのは」

そうなのだ茄子の下から現れたごはんは「丼」と呼ぶにはあまりにも少なすぎる量だったのである

お茶碗かるく一杯ってところか・・・

ワンコイン親子丼より少ないな

もっともあっちは具が少ないのだが

「まぁいい」

おっさんの食べすぎは禁物である

俺は気分を取り直して大あさり天丼が冷めないうちに一気に食べ干してやった

「ふぅ〜」

生ビールと合わせて腹八分目というところか

俺はふと目の前に立てかけてあるメニューを見た

540円で海老フライ1本追加出来ますと書いてあるではないか!

「なるほどこういうことか」

俺は全てを理解した

あえてドンブリのごはんを少なくして

ちょっと物足りない感を出させての海老フライ追加狙いなのだ

これは海老フライを食べない俺に対する警告だったのかもしれないが

当然のとこながら俺はそんな手には乗らない

そして俺の所にだけ伝票は届いていない

これはまさに海老フライを追加した場合に備えてのことなんではないかと

だが俺は屈しなかった

伝票を持たずにレジへ向かい平然と支払いを行なった

その時の俺には海老フライを追加出来るお金が無かったのである

 

その後俺は高島屋へ向かい本屋で森見登美彦氏の「夜行」を買った

やっぱりあみんのようにいつまでも待てなかった

高島屋の本屋はかなり規模が縮小されてしまった

近年の大型書店の撤退や縮小は本当に残念でならない

これも時代の流れなのか?

みんなスマホをいじってる暇があったらもっともっと本を読んで欲しいと俺は思ったのであった

 

 

それから2時間がたった

俺は腹ぺこである