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鯖棒亭日乗(下)

日常の記録写真と駄文  sababoutei@gmail.com

ごまだれ

俺はまだ先週のとある出来事を引きずって生きている

毎日毎日いかなる時も俺の頭から離れないのだ

何故あんなことになったのか?

俺が子供の頃に遊んだスライムのような色をしたお茶漬け

俺はあのとき何故お茶をかけてしまったのか?

ごまだれのままだったら美味しく頂けたのではないかと?

一週間ほどたとうとしているが仕事中も俺の頭の中から離れないのだ

あれから俺はいろいろと調べてみた

元々は名古屋で1年以上予約が取れないという懐石料理の店だそうだ

そんなお店がどうやら今は閉店しているようで

建前上はプロデュースと言う形ではあるが事実上は鯛茶漬け1本の経営になっていた

予約が取れない名店がたった一つのメニューで戦おうというのだ

よほど自身があるのだろう

例のごまだれは一ヶ月かけて仕込むそうで

やはり相当手間暇はかかっている

俺はふとあのごまだれを水炊きの付けダレにしたら美味いのではないかと思ったのだ

鶏肉、白菜、ネギ、豆腐などなど

想像してみるとやはり美味そうだ

で俺はあのごまだれが市販されるようなチラシが店に張ってあったのを思い出した

その時は興味がなかったのであまり気にしてなかったのだが

しかしまてよ?

鯛茶漬けはとてもシンプルな料理である

鯛の刺身、お茶、ごまだれ、薬味、ごはん

その中でも鯛に継ぐ2番手として重要なごまだれを市販してもいいのだろうか?

ごまだれは店の秘伝では無いのだろうか?

ライバル店に研究されてしまってもいいのだろうか?

しかも1ヶ月かけて仕込むものを市販化

おそらく大将が一人で作業するのは無理がある

考えられるのはどこかの工場に委託製造するのではないかと

自動煮込みマシーンみたいなので大量生産されるのではないかと

そこで俺はこれはもしかして将来的にチェーン展開を目指してるのではないかと考えたのだ

メニューはひとつのみ

食材も限られているし鯛を捌いてしまえばあとはバイトでもOKな仕事ばかり

その鯛もどこかに委託して捌いてもらう事も可能であろう

まぁ早い話がセントラルキッチンを作ってしまえば後は店でキャベツを切り味噌汁を作りコロッケを揚げるだけ

腕の良い料理人を揃える必要も無い

もちろん鯛の捌き方熟成の仕方で味は変わるが

そこまで究極に味を追求した鯛ではなくあくまで1500円で出せる範囲で美味しい鯛であったし

味噌汁は全く印象に残らなかったのでありきたりの赤出しだったと思う

予約が取れないような名店の料理人があのメニュー一本で行きたいというのは俺はどうしても納得出来ないのだ

料理人なら自分が修行した店の伝統を守りつつも自分のオリジナルな新しい味を追求したいのではないかと思うのだが

それがあのタレさえ作ってしまえば手間がかからないメニュー1本と言うのはどうもおかしいような気がする

裏で「こうすれば儲かりまっせ!」的なアドバイスをしてる人物がいるような気がしてならないのだ

個人的に俺はあのごまだれさえ入手出来れば問題は無い

後は自宅で水炊きや湯豆腐のお供として食するだけだ

それだけに秘伝のタレを販売しても良いのだろうか?と俺は心配になってしまうのだ

「自身があるのでメニューはひとつのみ」

と言い切るには今ひとつパンチが弱い

吉野家でも牛丼以外のメニューを充実させている時代である

さすがに一種類のメニューではリピーターがどれだけつくのか疑問である

果たして成功するのか?

成功した時には俺の予想通りにチェーン展開していくのだろうか?

ある程度軌道に乗ったら料理人として再び懐石の店も復活するのだろうか?

それとも経営に専念してしまうのだろうか?

そこまでの計画があるのかはどうかは全くもって俺の想像ではあるが

そんなことを考えてしまうのである

俺にとっては密かに一番期待していた店だけに最終形態のお茶漬けが無念でならないのだ

もちろん俺の好みがおかいしのは分かっている

ネットなどでは美味しいという人のほうが多いからである

しかし確かな事は「俺の好みではなかった」と言う事実である

でも食材ひとつひとつには可能性を感じるだけにもっとメニューを増やして欲しいのだ

たとえば鯛のカブト煮とか鯛の塩焼き茶漬けとか鯛飯とか

懐石で鯛づくしとか

味噌汁にしても鯛のアラを捨てないで出汁に使えないのだろうか?

俺はこの店が作るほかの料理を食べてみたいのだ

それだけに俺が想像している展開にはなって欲しく無い

最初は評判のよかった店が突然チェーン展開しだして味が落ちるというのはよくある

そして最初からの客は離れて観光客メインとなる

そうならなければいいが

 

そして緑茶ではなくほうじ茶も選べるようにならないかなぁと

俺は思うのであった

とりあえずそれだけでいい

それだけで