ノーベル文学賞を受賞したボブ・ディランの代表曲は「風に吹かれて」だが
今日の俺は風に吹かれなかった
通常ならそれでも何の問題も無い
むしろ嬉しいぐらいだ
しかし
今日の天気予報では昼から北西の風風速７〜８メートルの風が吹いてるはずなのだ
素直な俺はこの天気予報に全幅の信頼を置いていたのだ
そしてこの秋の晴天
大変に気持のいい日曜日
こんな絶好の日の半日を無駄にしてしまったのだ
俺は事前に計画を立てていた
今度休日に晴れたら久しぶりに長距離を自転車で走ろうと
しかし
俺が全幅の信頼を置いていた天気予報では朝のうちは穏やかな風だが昼前後からかなり強くなる予報だ
自転車は風に影響される
コースによっては延々と向い風になる
そして向い風ならまだいいが問題は横風なのだ
ロードバイクにおいて横風はハンドルが取られて危険なのだ
突然突風が吹いて道路の左端から中央付近へ押し出されたこともある
そして風速８メートルの横風を浴びながら走るのは精神的に辛いのだ
向い風なら自分がキツイだけなので軽いギアでのんびりと走れば良い
しかし横風に置いては踏まないと余計にハンドルが取られてしまうのだ
正直コワイ
コワイと思えば思うほど自転車は挙動不審になる
覚悟を決めて踏むしか無いのだ
そんな俺は今日の朝に午後からの走行は中止との決断を下した
これは英断だと俺は思い込んでいた
しかし
やはりそれは思い込みでしかなかった
午前中だけ走るメリット
せいぜい５０キロから６０キロ程度なので補給食が少なくて済む
今日の補給食は３８円で購入した本日賞味期限が切れるあわしま堂の焼リンゴブッセ約２００キロカロリーである
そして昼には家に帰る予定なので昼食代もいらない
ドリンク代も１５０円もあれば充分なのだ
俺のホームコースには湧き水もあるし無料で水を汲ませてくれるあられと和菓子の工場もある
そこではお茶も無料で各種試食も出来てトイレも完備
本当にありがたい
後は俺の場合はこの他にお賽銭として１円玉を１０個ぐらい使用するのだが
たまにこのお賽銭を忘れたりしてやむなく１０円玉を奉納することになる
これが１日走ることになると大変だ
とにかく自転車はカロリー消費が多いので腹が減る
食べるのをケチると帰りにヘロヘロになってしまうのだ
さすがにプロの用に５０００キロカロリー〜８０００キロカロリーを消費するような事は無いが普通に食べるだけでは走れなくなるのだ
そして真夏だと水分代も相当かかることを覚悟しなければいけない
それが半日コースならたとえ無補給でもなんとか家に帰って来れる安心感がある
これが半日コースのメリットなのだ
ただたまに１日中ペダルを回し続けたいなと思う時がある
それが今日だったのだ
だが俺は天気予報を見て英断した
いつものコース
自宅から２０キロ走行して山間部へ
距離３キロほどの緩い坂を３本登ってから
いつものお寺へ
十一面観音、地蔵菩薩、不動明王、愛染明王、弘法大師、大黒様、弁天様、閻魔様と愉快な仲間達他多数にお参りしてから岐路へと付くのだ
あとは帰り道で遠回りしたりして時間と距離を調整
昼１２時ぐらいに帰宅するのである
ただ今日は暴走軽トラと暴走ダンプと暴走ハイエースにやられかけた
収穫の秋は農家の動きが活発になってるだけに農村部での軽トラには注意が必要だ
そして休日に働く土方系の車などからも嫌がらせを受ける事が多い
そして今日の暴走ダンプなどはT字路の突き当たりに向かって走る俺を強引に抜こうとしてスピードオーバーでT字路に入りなんとかコーナーを曲がりきった所に来るS字コーナーで危うく対向車と正面衝突をしかけていた
危ない奴だ
なにをそんなに急ぐのか？
暴走ハイエースは俺にできるかぎりの幅寄せをしていった
その後で俺の前方を片側車線の道幅一杯に使って蛇行しながら走るお年寄りのママチャリにたいしては徐行しながら充分な感覚をあけて安全に抜きさって行った
そんなに俺が憎いのか？
俺はただ左端を真っすぐ走っていただけなのに
こういう日は危険を感じることが続く
なので早く切り上げて帰宅するのが良い
午前中でサイクリングを切り上げて帰宅したことは英断であったと思いたい
あのまま走り続けてたら俺は死んでいたのだと
しかし午後になっても一向に風が吹かない
俺は何をすることもなくこの晴天の秋の休日の午後を過ごしてしまった
来週の終末は晴れるのだろうか？
俺は果たして来週も天気予報を信じるべきなのかどうか迷っている
俺の判断はいつでも間違っている事が多いからだ
それならいっそう最初に決めた事と逆の事をやればいいじゃないかと思ったりもする
しかしやはり俺は自分を信じたい
自分が下した最初の判断を
今頃になって風が吹き出したみたいだ
やっぱり走れば良かったかなぁと未だに未練たらたらではあるが
賞味期限がせまった３８円のあわしま堂の焼りんごブッセは美味しかったので
今日はこれでよしとするか
