鯖棒亭日乗(下)

日常の記録写真と駄文  sababoutei@gmail.com

今日はお好み焼き

今日の俺

とある用事を済ませた午前11時

スマホに着信履歴があったので電話をかけた

小さな小さな仕事だがようやく仕事が決まった

少しだけ精神的に楽になった俺は喜び勇んでJR中央線へと飛び乗った

さっそうと電車に乗り込んだ俺はよほどガラガラな状態でなければ席には座らない

それは何故か?

どうせお年寄りに席を譲らなくては行けないのだから最初から座らない事にしているのだ。しかし最近俺はこう思うのである

満員電車で席に座れないお年寄りがいても誰も席を譲らない時がある。そんな時の為に俺が席をキープしといてお年寄りに譲ってあげた方が良いのではと

たぶんその方が良いはずだ

そんな俺は腹ぺこな状態で名古屋駅に降り立った

いわゆる名駅という場所だ

最近どんどんと開発が進んでいるエリアではあるがそれほど代わり映えはしない

ヤマダ電機とかいらないよなぁとは思うが山田さんも商売だから仕方が無い

もう少し面白い場所が増えてくれれば良いのだが

そんな俺はまるで競歩のような早歩きで雑踏をかき分け一旦地下へと潜った

それはほとんどの名古屋人が行なう習性ではあるのだが

とにかく地下へ潜る

そして秘密の通路を抜けてあっちのビルこっちのビルへとモグラのように移動するのだ

俺はいつものように大名古屋ビルヂングへと向かった

ここでいつも迷うのが地下にある蕎麦屋

しかし3組並んでるのを見るだけで俺は逃げ出してしまうのだ

そう行列から

俺は相変わらず行列が嫌いなのだ

そんな俺は素早い身のこなしでエスカレーターを駆け上がらずに左側キープで登る

俺の中でエスカレーターで歩くのはやめようキャンペーン実施中なのだ

エスカレーターで歩くのは危険らしいからこれを読んでる良い子もエスカレーターを歩くのは辞めよう

3階に辿り着いた俺

今日の俺はいつもの俺ではない

優柔不断な俺は毎回一人クリテリウムを開催してしまう

どの店にするか決める事ができずに何週も何週も回ってしまうのだ

そして俺が周回を重ねれば重ねるほど行列は増えていくのである

しかし今日の俺はとても強い意志を持って最初から入る店を決めていたのだ

それはお好み焼き

「神戸六甲道・ぎゅんた」である

お好み焼き、焼きそば、鉄板焼きで関西ではそこそこ幅を利かせてるらしい

そんな神戸が名古屋に進出

少し危険な匂いもしそうだが大丈夫。お好み焼き屋の話なのだ

このぎゅんたランチメニューはお好み焼き、焼きそば、肉の鉄板焼き数種類、名古屋限定でカレーとチキンソテー定食

いずれも850円から1300円と非常にお徳な価格設定

しかもお好み焼きなどには麦飯と牛テールと鶏がらを高麗人参や香味野菜と一緒に長時間煮込んだ「牛鶏薬膳スープ」が付く

そしてぎゅんた曰くコラーゲンたっぷり。人気沸騰中だそうだ

おそらくぐつぐつと吹きこぼれるぐらいに沸騰しているのであろう

そんなぎゅんただが平日はやはり空いているのだ

俺はガラガラの店内に侵入していつものように天高く右手人差し指を突き出した

「一人です!」

カウンターに案内された俺はメニューも見ないで「お好み焼きセットをイカで」「あっあと生中も」と店員のお姉さんに言い放ってやった

すぐにビールは運ばれて来た

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なんてキレイな色なんだろう

黄金色に輝く液体

麦からの贈り物

俺はさっそくこいつを飲んだ

すると長細い箱が運ばれて来た

 

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麦飯と牛鶏薬膳スープととろろとソースと韓国の辛い味噌である

トトロでは無くとろろは麦飯にかけてお召し上がりくださいとの事だ

ようするに〆に麦とろをかっくらいやがれこの野郎!ってことであろう

まさに関西。炭水化物のコラボレーションなのだ

嫌いじゃないぜ炭水化物

そう俺は炭水化物が大好きなのだ。LOVE炭水化物。ビバ炭水化物

そんな俺は「熱いのでお気をつけ下さい」と言われたコラーゲンたっぷりで人気沸騰中の牛鶏薬膳スープをフーフーしながらおそるおそる口をつけた

今まで黙っていたが俺は猫舌なのである

表面に油が浮いている為になかなか温度が下がらないと予測をたてた俺はいつもより多めにフーフーしてスープを一口飲んだ

「なんだこれは!う、うまいぞ!!」

俺はランチセットに付いてくるサラダやスープには期待しない

ほとんどの店ではサービス品扱いで正直どっちでもいいやって味な物が多いからだ

しかしこの人気沸騰中のスープ。単品で頼みたくなるほど美味いのだ

俺は俺の肌がどんどんスベスベになって行くの感じながらスープを飲んだ

するとスープの感動冷め止まないうちに真打ち登場である

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イカのお好み焼きである

どーんとカウンター前に設置された鉄板の上に置かれた

すでに十文字に切られている

俺は4分の一を取り皿に移してまずはそのまま一口食べた

「今日の俺は間違ってはいなかった」

一応ソースは塗られて入るがそのままだと味はやや薄めだ

しかし俺はこのくらいの方が素材の味を感じられて好きなのである

そして次に俺は店員おすすめの韓国の辛い味噌をぬりぬりして一口食べた

「な、なんだこの味は!!」

今までに経験した事の無いソースと辛みそのコラボレーション

イブラとルーニーとボグバが同じピッチで競演してる

ちゃんとボールが落ち着くぞちゃんとパスが出るぞ

そして存在感たっぷりのイブラヒモビッチ

あぁモウリーニョ

ビールが進む

右サイドをかけあがるバレンシアかのようにビールを飲み干した俺は酒のメニューを見て再び驚愕したのだ

「くくく、九平次だと!!!」

日本酒「醸し人 九平次」である

5勺500円でグラスだと900円

あのフランスの三ッ星レストランにも置いてある。フランス人が認めた日本酒

甘口で白ワインにも負けないとても上品な日本酒である

日本酒は甘い

辛口と言われる日本酒でも甘い。なので俺は日本酒は辛口を好むのだがこの酒だけは別だ。とにかく美味いのだ

俺は久しぶりに九平次が飲める喜びを感じつつ5勺サイズを注文した

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九平次である

俺は一口飲んだ

あぁやっぱりうまい。うまいなぁ

しみじみとそう思う

まるでスコールズのサイドチェンジのような真っすぐで正直な柔らかさの中にギグスのジャックナイフと称されるドリブルのような確かなキレもある

あぁベッカムが走り回ってる。ネビル兄がニッキーバットがぁああああ

なにもかも素晴らしい

この酒は別格だな

まさにシアターオブドリームス「オールドトラッフォード」である

俺は残りのお好み焼きにお好みソースをかけた

「あっ甘い・・・」

このソースは俺には甘過ぎた

まるでベッカムとベロンのポジションが重なるような甘さだ

モイーズファンハールも要らない

モウリーニョ!!

そして俺は最後に麦飯にとろろをかけてかき混ぜ

さらさらと食べた

「これは正義だ!」

決してオマケ的な炭水化物ではない

うまいのだとにかくうまいのだ

これも単品で頼んでも良いと思える美味さなのだ

 

俺は幸せだ

 

かつて横浜国際でマンチェスターUのサポーターどもとケセラセラを歌ったときと同じぐらい幸せだ。サーアレックスよ

やはり今日の俺は間違ってはいなかった

また来よう

実は俺は焼きそばが大好きなのだ

今度は焼きそばにしようか?

でも実はチキンソテーが一番気になっていたり

また来よう

九平次を飲もう

醸し人よ

 

ありがとう