鯖棒亭日乗(下)

日常の記録写真と駄文  sababoutei@gmail.com

園芸日記 05

俺はオリヅルランを枯らす男である

しかも二回連続で

二回目は買ってから一ヶ月で見事に枯れた

俺は枯れ逝くオリヅルランをどうすることも出来なかった

俺はただただ無力であった

水を控えれば良いのか?

水を与えた方が良いのか?

光に当てるのか?

半日陰か?

俺は何をどうして良いのかさっぱり分からなかった

オリヅルラン一号を購入したのは去年の秋だ

オリヅルランと言えば俺が勝手に師匠と呼んでいるいとうせいこう氏がベランダーになったきっかけの植物である

いとう氏が離婚した時に寂しいだろうからといとう氏の母親がオリヅルランをプレゼントしたのである

折り鶴のように曲がった白いラインの入ったキレイな細長い葉っぱをわさわささせているオリヅルラン園芸屋で発見して俺はひとめ惚れしたのである

ランと言いながらもランではないと言う事実を知った時には驚いたが

俺はとにかくオリヅルランが好きなのである

奴はマイナスイオンもたっぷり出してくれる

俺の部屋でも一号は秋と冬と春の間ずっとマイナスイオンを出しまくってくれていた

サンセベリアとポトスと一緒にマイナスイオンの3TOPを結成していたのである

それはかつてのマンチェスターUルーニーテベス、Cロナウドのような最強3TOPであった。けっしてバルサのメッシ、スアレスネイマールでは無いのである

そんな3TOPの一角だったオリヅルランが夏になり気温が上がり出したとたんに枯れた

俺の持っている観葉植物の本にはオリヅルランは掲載されていない

なので俺はネットで調べたのだ

しかし他の植物と同様に書いてあることが真逆だったりする

オリヅルランの根っこは球根みたいになっていて水分をたくわえることができる

なので乾燥に強く水やりも少なく済む為に初心者でも育てやすいと言われている植物の代表的存在なのである

しかし俺が調べたところでは夏の水やりについて書いてある事がバラバラなのだ

土が乾いてから数日たってから水を与えろと書いてあれば

他のサイトでは毎日与えろと書いてある

俺は混乱した

いったい誰を信じれば良いのか?

俺は軽い人間不信に陥った

夏場に葉先が枯れるのは水切れだと書いてある

しかし俺の一号の土はしっかりと湿っているのである

ここで水を与えては根腐れを起してしまう

なので俺は土がしっかり乾くまで待った

まるで「あみん」のように待った

「かわいいふりしてあの娘割とやるもんだね」なんて言われてたこいつも辛かったんだろうなと思いながら待った

 

わたし待つわ

いつまでも待つわ

 

俺はずっと待ち続けた結果

土が乾く前に取り返しのつかないぐらいにオリヅルランは枯れた

そしてそれは事実上の死を意味した

どうしてなんだ

俺の何が行けない?

水をやらなかったからか?

水を与えすぎたからか?

部屋が暑すぎたのか?

とにかく一号は死んだ

 

俺はとてもいたたまれなかった

そしてオリヅルランがいない部屋を見てただただ寂しかった

俺は走った

いつものホムセン

オリヅルランは入口付近に山積みにされていた

俺は一番最初に目が合ったオリヅルランを手に取った

目と目で通じ合う

かすかにん〜色っぽいのである

嵐を起して素顔を見せた時はキムタクもビックリしただろうが

そんなことは今はどうでもいい

俺はそのオリヅルランを購入した

これが二号である

俺は早速家に帰った

二号は根詰まりしかけていたので俺は五号鉢に植え替えてやった

窮屈そうにしていた二号も少し広くなった鉢の中でとても元気にすくすくと育った

しかし1週間もすると葉の色が悪くなって来たのである

新しい葉っぱが直ぐに枯れ始めた

そうなるとあっという間だった

俺は鉢から出して根のチェックをすべきかどうか考える暇もなく二号も枯れた

俺は落ち込んだ

こいつは俺に買われなければまだ生きていたはずだ

あの日あの時出会わなければ俺たちはいつまでも見知らぬ二人のままだった

そしておまえは死ぬ事は無かった・・・

すまん

謝っても許してもらえないだろうが

全ては俺の責任だ

俺は放心状態のまま近所のスーパーへ行った

すれ違う主婦達がこそこそ話をしてる気がする

「ちょっと奥さん!あの人よあの人。オリヅルランを二回も枯らした人よ」

「まぁいやらしい」

なんて会話が聞こえて来るような気がしてしまう

俺は園芸家失格なのだ

 

今でも俺はオリヅルランのことが忘れられない

また俺の部屋で最強3TOPを結成させてあげたい

だが今の俺にはオリヅルランを買う勇気がないのである

でもまたいつかきっと笑ってオリヅルランを購入することができるはずである

その時まで待っていてくれ

V3よ

父よ母よ妹よ

ちなみに俺に妹はいない

 

 

そして俺は寂しくなった部屋の中に新しい観葉植物を迎え入れる事にした

それは馴染みの100円屋で買ったピンポンの木である

ピンポンは卓球とは全く関係がないらしい

なにやら原産地の名前がピンポンみたいな名前だとか

詳しいことは忘れたが

俺は100円屋でひとめ惚れしてたった一つだけ売れ残っていたこいつを購入したのだ

そしてさっそく3号鉢に植え替えようと思ったその時であった

なんと思いっきり根詰まりを起していたのである

小さな小さな穴から根が飛び出して飛び出した根の部分は丸丸と太っているのである

これではプラ容器から出せない・・・

俺はなんとか根を傷つけないようにプラ容器を切断しようとしたがあっさりとピンポンの木の根は切れた

ほとんどの部分が切れて無くなってしまった

俺はその事実を自分の中で無かった事にしてそのまま植え替えた

 

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そして俺はなにごとも無かったかのように鉢底からあふれるぐらいにたっぷり水を与えて適当に肥料を置いた

 

 

果たしてこいつは根付くのだろうか?

 

俺はまたしても命を奪ってしまうのだろうか?

 

頑張ってくれピンポンの木よ

これ以上俺を園芸家失格にしないでくれ

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